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第13話「一見の客がもたらす限界変動利益はいつ減少するか分かりません」

2013年9月4日(水)

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日豊自動車取締役会

 「社長。あなたは一度口にしたことをコロコロと変えるのですか」

 常務取締役の小島俊一はきつい口調で湯浅を責めた。小島がこうした態度に出られるのには訳があった。彼には、メーンバンクの後ろ盾があるからだ。ここ数年、日豊自動車の財務状態は日増しに悪化している。

 一時は、リッター30キロ走る普通自動車がヒットして、一時的に業績が改善したかに見えた。その後、実際は20キロにも満たなかったこと、他社から同じ機能の車種が立て続けに出たこともあって、エコカーの売り上げは一気に落ち込んだ。今では、従来からの車種に多少の改良を加えて、なんとか売上高を保っている。

 それにしても「コロコロ変える」とは失礼な男だ、と湯浅は思った。そうではなく、戦略戦術をいつも見直し、新製品を出し続けないと、この会社は持たないのだ。燃料電池車の開発を密かに続けているのも、そうした理由からだった。

 「あなたがプライベートで同業者と会っているのを、この私が知らないとでも思っているのですか」

 達也や金子のことだな、と湯浅はすぐに理解した。社内には、小島に密告することで出世を狙っている者が多いのだろう。

 「小島さんは、燃料電池車には賛成ではないようですね」

 「当たり前です。それに、燃料電池車の開発は当面の間据え置き、ということになったじゃありませんか」

 小島は役員会での決議を持ち出してきた。

 「その点は否定しません。しかし、昨年末から、明らかに潮目が変わりました」

 すると小島は首を左右に振りこう続けた。

 「燃料電池車はダメですよ。開発に資金がかかりすぎますし、もう手遅れです。それに、あなたがその気でも銀行が貸してくれません。一蓮托生だけは避けたいようですよ」

 ついに尻尾を出したな、と湯浅は思った。小島の出向元である銀行は、投資した資金を少しでも回収したいのだ。

 「小島さん。あなたが考えているほどの金額は必要ありません。それに…」

 達也と金子と組めば、2015年は無理でも2020年には十分間に合う、と言おうとしたが、やめた。時が来るのを待つのだ。

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「第13話「一見の客がもたらす限界変動利益はいつ減少するか分かりません」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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