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第16話「どうかしたのですか、団さん。少し変ですよ」

2013年10月16日(水)

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機内

 スワンナプーム国際空港を夜中に飛び立ったボーイング777は、順調に飛行を続けていた。ゴーッというエンジン音だけが聞こえてくるだけで、ほとんどの乗客は眠りについていた。だが、エコノミークラスの最後尾の席だけは、読書灯が灯っていて、男女の話し声が聞こえた。

 「真理ちゃん。お父さんは元気?」
 達也はスコッチウイスキーのミニチュアボトルを傾けながら聞いた。

 「相変わらず、元気に北千住の魚河岸に通っています」
 真理の父親は鮮魚店を営んでいる。

 「確か一人暮らしだよね。きみが帰ったらさぞかしうれしがるだろうな」
 こんなセンチメンタルな達也は初めてだわ、と真理は思った。

 「どうされたんですか」
 「どうって?」

 「私の父のことなんか聞くのですもの。私がいなくても、あの人はいつも元気なんです」
 世界を飛び回るようになっても、真理は下町育ちの江戸っ子なのだ。

 「お父さんと仲がいいんだ…」
 達也はしみじみと言った。

 「どうかしたんですか、団さん。少し変ですよ」
 バンコクで、昔の仲間と再会し、今後の協力を取り付けた。日本では、日豊自動車の湯浅、会計士の西郷、そして、金子と萌が準備を整えて待っている。いよいよ新会社GMC社(グローバルMC)を立ち上げるときが来た。

 (きっと、ほっとしたんだわ)

 真理は勝手に推理した。だが、それが的外れであることに気づくのに、時間はかからなかった。

 「団さんのご両親はお元気ですか」
 と言って、真理は慌てて口を閉じた。これまで一度も達也から家族のことを聞いた覚えがない。もしかして、触れられたくない秘密に立ち入ってしまったのかもしれない…。真理は気まずくなった。

 達也は表情を変えずに、またミニチュアボトルのキャップをひねって、プラスチックボトルに注いだ。

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「第16話「どうかしたのですか、団さん。少し変ですよ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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