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機械の自由意志

アンドロイド/サイボーグ考(33)~バトラー『エレホン』を読む(7)

2014年1月14日(火)

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 さて今回も機械の書の続きです。いよいよ最後の章に入ります。この章ではとくに、機械の無限の改善の可能性を指摘しながら、機械には自由な意志がないという理由から、機械のそうした進化の可能性を否定する理論を反論することを試みます。

 人間には自由な意志はあるのかという問いは、善なる神がこの世界を創造したというキリスト教の根っこのところにある信念のために、中世以来の長い伝統を引き継いでいます。この著者はこの問題にたいして、機械的な決定論の立場をとりながら、「人間とは、彼が誕生する前に、あるいは彼が死んだ後に、彼にかけられたすべての力の結果であり、代表者なのである。人間の行動は、それがどんな瞬間のものであれ、彼の体質と、彼が服従している(そして服従してきた)さまざまな作用の強度と方向だけによって決定される」と指摘します。

 この観点からみるとき、人間の意志なるものは機械的なものであることは明確だからです。その意味では著者は、人間は「神の操り人形」であるというライプニッツの理論に近いところにいることになります。あるいは偶然という概念は、人間を動かしている必然的なものを認識することのできない人間の「無知」示すものにすぎないというスピノザの理論に近いところに。

 そして人間が機械の進化を認識できないとしたら、それは動物が登場した頃に、この動物なるものは、植物になり損ねて、これから進化してわれわれのような植物になろうとしているのだと思い込んだ植物と同じように、愚かな妄想にかられているのだということになります。

******

機械の改善の無限の可能性

 現在はこのシステムは複雑なものであるが、数十万年後には、あるいはすぐにでも二万年後に、さらに単純で賢いシステムが組織されているかもしれないではないか。というのも、人間は現在は、機械がその方向に進むことが自分たちの利益に適うと考えているからである。人間は機械がつねによりよい機械を生み出すようにするために、計算できないほど多量の労働と時間と思考を費やしている。そしてかつては不可能と思われたことでも実現することに成功しているのである。もしも機械がある世代から次の世代へと、修正を積み重ね、そしてそれを受け継いでいくことが許されるならば、蓄積された改良の結果には、限度というものがないように思える。

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「機械の自由意志」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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