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第22話「その時は社長の職を辞すつもりです」

2014年1月15日(水)

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2014年 正月

 1月6日。達也は静岡県の伊東に向かった。目的は2つ、恩師宇佐見の墓参りと、母親の戸籍謄本を確認するためだ。

 伊東の駅に着くと、最初に宇佐見が眠る寺を訪ねた。そして、用意した線香に火を付け、墓前に捧げて手を合わせた。達也にとって宇佐見は心の支えであり、実父よりもずっと近い存在だった。子供のいない宇佐見もまた達也を息子のようにかわいがった。

 その後、路線バスに乗って伊豆高原の別荘に向かった。

 バスは国道を抜けて一碧湖を通り過ぎ、その先にある坂道を力強く上った。そして数分後、停留所に止まった。

 別荘はそこから歩いて数分の所にあった。達也は玄関の脇に付けられた旧式のボタンを押した。すると家の中から「ブブッ」という音が聞こえてきた。

 扉が開き、宇佐見未亡人は達也を真っ先に仏間に案内した。達也は、位牌に手を合わせた。

 その後、2人は宇佐見お気に入りの居間に移動した。窓の向こう側には、まるで絵に描いたような大室山がくっきりと見えた。

 「大室山はいつ見ても気持ちが和みます」
 達也が言った。

 「宇佐見はこの景色がなにより好きでした」
 「そうでしたね」

 すると未亡人は「達也さん。生前、宇佐見は俺がいなくなったらこれをあなたに渡してくれ、と申していました」と言って、婦人はプラスチックの小箱を渡した。

 早速ふたを開けると、中には宇佐見が愛用していた太い柄のドイツ製の万年筆が入っていた。

 「ありがとうございます。形見として大切に使わせていただきます」

 「達也さん。本当に宇佐見の息子のような存在です…。ごめんなさい。本当のお父様がいらしたのに」

 「ボクも同じ思いです。実のオヤジより、何倍も先生を尊敬しています。あらためて思ったのですけど、ボクは奥様のお名前を知らないんです。教えていただけますでしょうか」

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「第22話「その時は社長の職を辞すつもりです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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