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エレホン国の選択

アンドロイド/サイボーグ考(36)~バトラー『エレホン』を読む(最終回)

2014年2月4日(火)

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 さて、このように機械という文明の利器が、人間にとってはある致命的な害をもたらすことが確認されて、エレホン国ではごく初歩的な機械を除いて、先進的な機械はすべて破壊されたのでした。それでもこの国では人々は幸福に生きているようです。それは最初のところで身体の美しさが強調されていたことからも明らかでしょう。

 しかしわたしたちにはこのような決断は下せません。機械を破壊するのではなく、機械とどのように折り合って生きていくかを工夫する必要があることは明らかだからです。文明のこうした歩みは、小説の中でしか後戻りのできない性格のものなのです。しかしわたしたちのうちにはまだ、機械にたいする奇妙な警戒感が残されているのも事実です。

 風刺に満ちたアイロニカルなバトラーの『エレホン』には、まだまだ奇想天外な物語と意表をつくアイデアがいろいろと語られていますが、この国で機械が破壊されることになったいきさつとその論拠は、これまでで語りつくされていますので、わたしたちもこの物語から離れることにしましょう。

 次回からは、人間たちが自分で発明し、作り上げたはずの機械に対して、奇妙なまでの恐怖心と警戒感をいだいている原因を、人造人間の創造という物語として語った小説、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を考察しながら、人間と機械のつきあい方を改めて考え直してみたいと思います。この小説はよく知られた物語ですが、人間が自分の力で生きた生命と知性を創造するというピュグマリオンの幻想について、現代的な視点から多くのことを教えてくれるはずです。

******

人間の隷従の未来

 「たしかに将来には、真剣な魂の持ち主が自分の状態を調べて、自分が蒸気機関として生まれなかったという運命を呪うようになるかもしれない。しかし人類の大半は、今よりも安い値段で美味しい食べ物と着やすい服を手にすることができるならば、そうした状態に黙従するものである。そしてたんに、そうした運命よりももっと名誉ある運命の定めのもとにいなかったからといって、不条理な嫉妬に駆られるようなことはしないものだ。

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「エレホン国の選択」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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