• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「三国志」は赤壁の戦いの後のほうが断然面白い

軍師・諸葛亮の本当の実力も分かる

2014年3月25日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 2012年8月から2013年8月まで『サテライト「三国志」群像』のタイトルで連載された塚本青史さんの小説が、このほど単行本『サテライト三国志』上下巻として刊行された。

 『レッドクリフ』など、映画や小説、そして漫画やゲームと、三国志はさまざまな形で描かれているが、赤壁の戦いを山場としているものが多い。しかし、塚本さんは、戦いの派手さだけでなく、中盤から終盤にかけての機微にも注目してほしいという。

 書籍の出版を機に、塚本さんに三国志の読みどころについて寄稿していただいた。

 『三国志』というと、普通は歴史書の方ではなく、小説の『三国志演義』を指すことが圧倒的に多い。それゆえ、演義の方を正しい歴史だと誤解している向きも多い。

 例えば劉備と関羽、張飛が義兄弟になる「桃園の誓い」の場面や、諸葛亮が藁人形を使った船で、魏軍に矢を十万本を射たせて、刺さった物を呉軍の備品にした話は、演義の目覚ましいフィクションである。

 また、曹操が漢帝国を不法に乗っ取った大悪人で、劉備が漢の血筋ゆえに、祖国再興を図る善人的な性格の持ち主とするのも、演義における脚色といえる。

 歴史の実際は、漢の皇帝の政治的な力が下落して、乱れた世の中から野心の強い者どもが、天下取りに名告りを挙げて戦いを繰り返したという事だ。それが、この物語を通しての偽らざる姿である。

漢皇帝の無能振りや周囲の悪辣な行状は省略

 では、なぜ皇帝の政治力が落ちていったのかが、気になるところだ。簡単に言えば、後漢の後半に皇帝の夭逝が相次いだからある。幼い皇太子が帝位に即くと、母親である皇太后が摂政となり、彼女の一族(外戚)が幅を利かせて専制政治を行うのだ。

 しかし、幼帝が成長すると、無論不満を持ち始める。そのとき親身になって相談に乗ったのが、宦官どもであった。場所は、男子禁制の後宮である。ここならば外戚に立ち聞きされることもなく、彼らを抹殺する謀(はかりごと)を進められた。

 こうして、青年皇帝は思いを遂げる。ところが、今度は論功行賞で高い地位にありついた宦官どもが、専横の限りを尽くしたのだ。

 こういったことから、結局は漢の威光が隅々まで届かなくなり、秩序が乱れていったのである。つまり、人々の心の拠り所が崩壊したことになる。そのような社会状況を反映して、太平道なる新興宗教が隆盛した。

 この信者が膨らんで黄の頭巾を被り、不満を後漢の政府に向けていく。これが、黄巾の乱である。つまりこの乱は、太平道の信者を中心とした一種の宗教暴動だったのだ。

 大部分の『三国志』物語は、冒頭に184年の黄巾の乱を据えている。そして、彼らを悪人に仕立て上げて、成敗に加担した劉備や関羽、張飛、はたまた孫堅(孫権の父)、曹操らが物語に登場する切っ掛けとしている。

 だが、なぜ黄巾の乱が起こったのかや、それまでの漢皇帝の無能振りや周囲の悪辣な行状を省いている。あからさまに後漢の皇帝批判をすれば、劉備が漢を再興する大義がなくなると、懸念しているかのようだ。

 この後、外戚の権力者何進(かしん)の暗殺を経て、袁紹(えんしょう)らを中心とした宦官の殺戮、董卓の洛陽入城、汜水関(しすいかん)の戦い、長安遷都と進んでいくが、ここまでで、『三国志』前半の役者が揃い踏みすることになる。

コメント1

「サテライト「三国志」群像」のバックナンバー

一覧

「「三国志」は赤壁の戦いの後のほうが断然面白い」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

ライバルは思わぬところから出現します。

浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長