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村上春樹の「売り方」を考える。

『女のいない男たち』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』/『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』

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2014年6月4日(水)

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【私の「宣伝」した本読んで下さい!】

担当:柏原光太郎(文芸春秋 宣伝プロモーション局)

女のいない男たち』(村上春樹著)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹著)

 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が刊行された昨年4月から、さらに1年時計の針を巻き戻した2012年4月に私は文春文庫部から異動し、出版プロモーション部の立ち上げを行うことになった。

 社長からの指示は、編集者に替わる組織プロモーションを行うこと、特にテレビ局に食い込んで自社本を放送してもらうように努力せよ、の二点。指示の締めは、さる有名財界人の名前を挙げ「彼のようにあらゆるメディアに顔が利くような存在となれ」だった。
「しかも、金をかけずにな」。

 うーん、彼のように365日外食し、レストランを経営したり、海外に別荘を持ったりしていれば、人脈を作れるような気はするが、金を使わずにゼロからプロモーションを行うにはどうしたらいいのか。小社自体がメディアだということは、この場合はマイナスに働き、「毎年10億円以上も使って宣伝してきたことを、タダで同じ効果を出せといわれても無理でしょう」と愚痴っても、エライ人たちは「これまで雑誌や本を作ってきたときと同じように、人脈を使って、いろんな人に頼めばいいじゃん」というばかりだ。

 途方に暮れながらも翌5月から月2回、NEWSLETTERを社外メディアに出し、社内のトピックスを知ってもらうことにした。マスコミの人間ならおわかりだと思うが、われわれは他社の情報を取ることは好きだが、自社の情報を発信することにはめっきり弱いからだ。

プロモーションに『1Q84』を“活用”

 さらには、同業他社の同じような部署の人間に教えを乞い、「いまは真っ暗なトンネルを走っているが、出口は必ずこの先にあるはずだ」と何度も唱えながら、半年ほど試行錯誤した年末のこと。ちょうど阿川佐和子さんの『聞く力』が2012年度のベストセラー第1位になり、営業部がエイヤッとばかり15万部増刷して累計100万部にしたという知らせが社内LANで回ってきた。

 一緒に苦労していた部員が「これ、リリースで流したらどうですか」と提案してくれ、リリースを出したら、すぐに新聞社のネット速報に取り上げられ、最終的にはヤフーにあがることとなった。その年唯一の100万部突破ということで「『聞く力』ミリオンセラー」はメディアにどんどん拡散、ようやくプロモーションの仕組みを実感できたのだ。

 そんなことがあって数カ月後に「多崎つくる」が刊行されることを知り、われわれが考えたのは、ネットによる情報の拡散と頻繁な更新を行うことだった。従来は新聞広告だけだった刊行予告をリリースでも行い、新たな情報が入ってくるたびに告知することで、ネット上で常に「多崎つくる」の情報が拡散され、リーチは伸び、発売前から本への興味が倍増することとなった。中でもアマゾン予約1万冊を前作『1Q84』より早く達成し、それがニュースになったことは大きかった。騒動とまで呼ばれた『1Q84』よりも話題になっているというイメージを作ることに成功し、ネットだけでなく旧来のメディアも注目してくれるようになったのだ。

 そこで次に、ネットに興味がない「マスの読者」への訴えをどうしようかと考えた結果が、カウントダウンイベントだった。「多崎つくる」の刊行される4月12日の前日夜から代官山蔦屋書店でカウントダウンを行い、その模様をメディアで報じてもらう……イメージはiPhoneや任天堂のゲームだったわけだが、いくら村上春樹さんの読者が100万人いると言っても、そこまで話題になるのだろうかという不安は最後までぬぐえなかった。

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