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スタートアップの成長を司る“万物の法則"とは?

ピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン』先行公開(3)

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2014年9月24日(水)

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フェイスブックに初めて社外から出資したことでも有名なピーター・ティールだが、50万ドルの投資がIPO後に最終的に10億ドルになった。これだけのリターンを生みだすためにベンチャーキャピタルが従うべき2つの鉄則とは? 答えは“power law”にある。

 カネはカネを生む。「だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。」(「マタイによる福音書」25章29節〔日本聖書協会新共同訳〕)。

 アルバート・アインシュタインは、それと同じ意味で、複利を「世界の8番目の不思議」「歴史上最大の数学的発見」そして「宇宙で最も大きな力」とまで呼んだ。どう呼ぶにしろ、彼の言いたかったことは明らかだ。指数関数的な成長を軽視してはならない。実際のところ、アインシュタインが本当にそう言ったという証拠はない。ただの言い伝えだ。でも、出典の怪しげなこの言い伝えの存在そのものが、内容を裏づけている。人生をかけて知性という元本に投資したアインシュタインは、自分が口にしてもいない言葉によっても認められ、今も墓場からその利子を受け取っているのだから。

 たいていの言葉は忘れられてしまう。反対に、アインシュタインやシェイクスピアといった少数の選ばれた人たちの言葉は常に引用され復唱される。ほんの一部の少数派が、はるかに大きな影響を社会全体に与えることは決して少なくない。1906年、経済学者ヴィルフレド・パレートは「パレートの法則」、いわゆる「80-20の法則」を発見した。2割の国民がイタリア国土の8割を所有していることに気づいたのだ。自分の畑のえんどう豆のさやの2割から8割のえんどう豆が生産されているのと同じ現象だった。

 ひと握りのグループが、残りのライバルをはるかにしのぐというこのパターンは、自然界にも人間の社会にも見られる。巨大地震は小さな地震すべてを合わせたより何倍も強い破壊力を持つ。小さな街をすべて合わせても、大都会にはかなわない。そして、独占企業は、これといった特徴のないライバル会社を100万社集めたよりも大きな価値を取り込むことができる。アインシュタインが言ったかどうかは定かではないけれど、分散に極端な偏りが出る「べき乗則」は万物の法則だ。それは僕らの周囲のあらゆる現象を支配しているために、僕らはふだんそれに気がつかない。

 この章では、おカネの流れを追いながら、「べき乗則」を明らかにしていく。ベンチャーキャピタルは、アーリーステージへの投資によって指数関数的成長から利益を得ることを目論み、ほんの数社の価値が、ほかのすべての企業の価値をはるかに超える。ほとんどの企業はベンチャーキャピタルに世話になることはないけれど、ベンチャーキャピタリストでさえなかなか理解できないひとつのことを、誰もが認識しておく必要がある。僕たちが住んでいるのは正規分布の世界じゃない。僕たちはべき乗則のもとに生きているのだ。

ベンチャーキャピタルの〈べき乗則〉

 成功しそうなアーリーステージのスタートアップを見つけ、資金を提供し、利益を得るのが、ベンチャーキャピタリストの仕事だ。彼らは機関投資家や富裕層から資金を募り、ファンドを作り、価値が上がりそうなテクノロジー企業に投資する。判断が正しければ、彼らはリターンの一部──通常は20パーセント──を受け取ることができる。ポートフォリオに組み入れたスタートアップの価値が上がり、上場するか大企業に売却されると、ベンチャーファンドは儲けを手にすることができる。ベンチャーファンドの投資スパンは10年ほど、つまり企業が成長し「出口(イグジット)」を見つけるまでの期間だ。

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