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偉大な企業だけが知っている「隠れた真実」の見つけ方

『ゼロ・トゥ・ワン』先行公開(6)

  • ピーター・ティール

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2014年10月3日(金)

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偉大な企業は、目の前にあるのに誰も気づかない世の中の真実を土台にして築かれる。ではどうすれば私たちはその「隠れた真実」を見つけられるのか? そこで問うべき2つの質問に加え、探すべき場所、そして見つけた時にどうすべきかまで、0から1を生み出す起業のエッセンスをティールが説く。

世間はこう見ている

 隠れた真実の存在を信じない人たちは、世界をどんなふうに見ているのだろう? 人間がこの世の謎をすべて解明したと思っているはずだ。もしこうした今日の通念が正しいなら、ぬくぬくと過ごしたってかまわない。「神は天に召し、すべて世はこともなし」というわけだ。

 たとえば、隠れた真実が存在しない世界では、完全な正義が実現していることになる。一方で、どんな不正義も、はじめからそこに道徳的な問題を見出すのはごく少数の人々だ。そして、民主的な社会では、大半の人が不正義だと思わない限り、間違った慣習が続けられる。奴隷制度をはじめから悪だと思っていたのは、少数の奴隷廃止論者だけだった。「奴隷制が悪い」という考え方は今では常識だけれど、一九世紀のはじめにはまだ隠れた真実だった。今の時代に知られざる真実はないというのは、隠れた不正義が存在しないというのと同じことだ。

 経済において、隠れた真実が存在しないという思い込みは効率的市場への信仰につながっている。でも、金融バブルの存在は市場が驚くほど非効率になり得ることを示すものだ(しかも、市場は効率的だと信じる人が多いほど、バブルは大きくなる)。1999年当時、インターネットが不合理なほど過大評価されているとは誰も思いたがらなかった。2005年の不動産もそうだ。連邦準備制度理事会のアラン・グリーンスパン議長は「あぶくの兆しが見える地域もある」としながらも、「全国的な住宅価格はバブルとまでは言えない」と述べていた。市場はすべての情報を反映しているはずだから、疑うべくもないものとされていた。その後、国中の住宅価格が下落して、2008年の金融危機では数兆ドルが消失した。未来には多くの隠れた真実があって、経済学者がそれを無視したからといって消えてなくなるわけじゃない。

 企業が隠れた真実の存在を信じなくなったらどうなるだろう? ヒューレット・パッカード(HP)の凋落はその警告となるような事例だ。1990年、HPの時価総額は90億ドルだった。その後に続いたのは発明の10年間だ。1991年、HPは世界一手頃なカラープリンタ、デスクジェット500Cを発売。1993年には世界初の「スーパーポータブル」ラップトップ、オムニブックを発表する。その翌年には世界初のプリンタ・ファックス・コピー複合機、オフィスジェットをリリース。この矢継ぎ早の新製品投入が成功する。2000年半ば、HPの時価総額は1350億ドルになっていた。

 しかし、「発明」の重要性を打ち出し新たなブランド戦略を導入した1999年末から、HPは発明を止めてしまう。2001年にはHPサービスを立ち上げ、大々的にコンサルティングとサポート業務に乗り出す。2002年にはコンパックと合併する。ほかにすることがなかったからだろう。2005年までには時価総額は700億ドルに落ち込んでいた。それはわずか5年前のおよそ半分の価値だった。

 HPの取締役会は機能不全の縮図だった──二つの派閥に分裂し、新しいテクノロジーを気にかけていたのはそのうちの片方だけだった。その派閥を率いていたのは、エンジニアのトム・パーキンスだ。彼は1963年にHPに入社し、ビル・ヒューレットとデイブ・パッカードに請われて研究開発部門を率いていた。2005年に73歳だったパーキンスは、大昔の楽観主義の時代からやってきたタイム・トラベラーのような存在だった。彼は、最も将来性のあるテクノロジーを取締役会が特定し、HPがそれを開発すべきだと思っていた。

 でも、パーキンスの派閥は、取締役会会長のパトリシア・ダン率いるライバル派閥に敗れた。金融出身のダンは、取締役会に未来のテクノロジーを特定する能力はないと主張した。取締役会はガードマン役に徹するべきだと考えていたのだ──会計は適切に行なわれているか? 規則は守られているか?

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長