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中国西域遺跡よりも心動かされたもの

西域雑感、乾燥地の変

2014年10月29日(水)

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 2012年8月から2013年8月まで日経ビジネスオンラインで『サテライト「三国志」群像』を連載した塚本青史さんの小説が単行本『サテライト三国志』上下巻として刊行された。本書は今年の第二回野村胡堂文学賞を受賞した。

 著者の塚本さんは、毎年中国を訪れており、今年は西域を旅したという。塚本さんに三国志の面影を残す中国西域の紀行文を寄せていただいた。

 この10年ばかりは、十数名で中国旅行するのが年中行事になっている。その一環として、今年は西域を目指した。文字どおり中国の西部地域で、コンロン山脈とテンシャン山脈に南北を挟まれたパミール高原までの地域だ。

 中国の行政区域で表現すれば、そのほとんどは新疆(しんきょう)ウイグル自治区に属し、地形的にはタリム盆地となり、大部分をタクラマカン砂漠に被われていることになる。

 タクラマカンとは、ウイグル語で「死」及び「無限」を組みあわせた言葉だという。つまり「生命の絶えた不毛の地」の意で、人間にとっては、生活どころか足を踏み入れるにも厳しい土地柄ということになろう。

 それでも古代から人跡があるのは、南北を隔てる山脈からの雪解け水の恩恵があったからだ。つまり地下水が利用できたので、オアシス都市の形成が可能だったことになる。

 シルクロードは、紀元前2世紀後半に漢の張騫(ちょうけん)が大月氏(だいげつし)国(現在のウズベキスタン地方)へ使いして以来の名である。しかし、中国人が利用する以前から、この地は既に拓(ひら)かれていたとみられる。

 それらの都市は、隊商の食糧や燃料の補給基地としても、商品の仕入れ先としても機能していたようだ。

ウイグル自治区で今も続く爆破事件

 さて、日本の9割近い面積を誇る西域を走破するには、それこそ何年もかかろう。それゆえそのような無謀は止して、今回私たちが旅行したのは、西域の東側の都市三つばかりに絞った。

 一つは、最近テロ事件でも勇名を馳せたウルムチである。新疆の首都でもあるので、そのようすは田舎の町ではなく近代都市そのものだ。それは、この地へ漢族を入植させるために建てたからでもある。

 古代から明朝までは、注目に値するような所ではなかった。清朝に至って、異民族を同化させるために迪化城(てきかじょう)なる要塞が築かれ、新疆(この頃は省)の中心地になっていく。これが、現在のウルムチの原型である。

 以来ここまで、中央が西域を支配するための拠点となっている。だからウイグル自治区であるにもかかわらず、住民のほとんどは漢族でウイグル族は少ない。

 この地で暴動が起こる理由の一端は、そのようなところにあるのかもしれない。私たちが投宿した日にも、バザールが爆破される事件があった。

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「中国西域遺跡よりも心動かされたもの」の著者

塚本 青史

塚本 青史(つかもと・せいし)

作家

1949年岡山県倉敷市生まれ。同志社大学卒業後、印刷会社に勤務。イラストレーターとしても活躍。日本作家クラブ理事。父、塚本邦雄創刊の歌誌「玲瓏」発行人。近著に『李世民』。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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