ちょいコレ

大スターの教え「仕事は順番がすべてだ」(動画)

文:鶴野 充茂 10.16.2014

人の仕事振りは一体どのように評価されるべきなのか。「ひっくり返して裏側を見れば分かる」。そう教えてくれたのはビートルズでした。と、そんな動画を今回のちょいコレでは紹介します。

料理の「さしすせそ」。ご存じの方は多いかと思います。

さ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(醤油)そ(味噌)を意味していて、料理の味付けはこの順番でする、というものです。味の浸透スピードに他の調味料や素材への作用、香りなどの理由から、和食の基本としてよく挙げられます。

しかし、それで料理の仕上がりに違いができたとしても、仕上がりだけを見て実際の味付けの順番までを見破るのは困難です。

その意味で、今回紹介する動画はユニークな視点を与えてくれます。

仕上がった後で、その仕事の順番までバレてしまう、いや、その順番を楽しんでもらうというものですから。

一体何の動画か。パンケーキを作る動画です。

パンケーキは裏側仕上げ

日本でなじみ深いホットケーキは、英語圏ではパンケーキと言います。数年前から「パンケーキ」が若者の間でブームになっていますが、要は粉を溶いて焼いてひっくり返すアレのことです。

今回の動画は、米国ワシントン州に住むイラストレーターで数学教師のネイサンさんが、ビートルズのメンバーの顔をパンケーキの生地で描く様子を撮影したものです。

パンケーキ作りを始めたのは、子どもたちを喜ばせるため。次第にハマり具合がエスカレートし、今では子どもたちと一緒に様々な似顔絵や幾何学模様などを作っているようです。

裏返して仕上げる。それがパンケーキです。見ている人には出来上がりの様子が直前まで分かりませんので、プロセスを一緒に楽しめる動画です。

では、ご覧ください。

【Beatles Pancakes】

形にこだわらず、順番にこだわる

多くの人にとって、ホットケーキ(パンケーキ)で大切なのは、焼き色と形です。

たとえば、「Yahoo!知恵袋」を見てみると、こんな悩みがあります。

「ホットケーキを両面きれいに焼く方法はありますか? 最初に生地を流し込んだ面はきれいに焼けるんですが、ぷつぷつ穴があいて裏返した面はでこぼこします」

実に深刻な悩みです。これに対してベストアンサーはこう来ます。

「返すタイミングが遅い。もしくは、ホットプレートの温度が高すぎなのでは? 私は、F屋レストランでホットケーキを極めました。ホットプレートの温度は165度ぐらい、ホットケーキのネタはちょい固めでレードル(オタマ)からやっと落ちるぐらいがベスト! レードルは60ccのやつがちょうど良い!」

「返すタイミングは、表面に何個かポコポコと気泡が出、膜が全体的にできたら裏返す。返したら、ヘラで軽く潰して上面と下面の大きさを合わせる。下面が軽くキツネ色になったらホットケーキを立て、クルクル回して側面を焼いて面を作ってください。そうすると、型に入れて焼いたようなホットケーキになります」

ここまで来ると美学ですね。

ところが、先に紹介した動画を見ていると、もっとフリーダムです。そう、ビートルズが教えてくれた。もっと自由に、楽しく。食べる人を見た目から驚かそう!

そういうプレゼンテーション重視の姿勢なんです。

最初はおそらく普通のお絵かきのように、外枠を描いて塗りつぶしていたのでしょう。子どもたちもきっと、それだけで驚いたり喜んだりしていた。

ところがそのうち、描く順番によって焼き色の濃淡に差が出ることに気づきます。

つまり、形に加えて「順番」という新たな概念との出会いです。

「丸くなくていい」。そのわずかひとつの固定概念を解き放った時に生まれたのは、文字通り、すべてをひっくり返されたような驚きでした。

話題にできる世界の名作ネット動画、「ちょいコレ」でまた紹介しますね!

鶴野 充茂(つるの・みつしげ)
ビーンスター株式会社 代表取締役
カンパネラ「ちょいコレ」監修。ビーンスター株式会社 代表取締役。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会理事。コミュニケーションの専門家として、トップマネジメントやリーダーに情報発信やプレゼン、メディア対応についてアドバイスしている。 著書は、25万部超のベストセラー『頭のいい説明すぐできるコツ』(三笠書房)ほか『世界のエリートはなぜ次々とチャンスをつかむのか?』(宝島社)、『なぜ経営者は 「嘘つき」と言われてしまうのか?』(日経BP社)など二十数冊。日経ビジネスオンラインで「金曜動画ショー」、月刊「広報会議」でネット危機管理の連載 も持つ。