ちょいコレ

ヒゲを伸ばした2カ月で人生が変わった(動画)

文:鶴野 充茂 10.30.2014

ヒゲを生やし剃り落とすまでの2カ月間を編集したネット動画が注目されています。その動画では、ヒゲとともに歩む新たな自分との出会い、そして別れのドラマが描かれていました。

ヒゲを生やし始めてから剃り落とすまでの約2カ月を映像で記録し、早回しで編集したネット動画が注目されています。ヒゲによって見た目の印象が変わるのは容易に想像できますが、そこに描かれているのは単なるヒゲの長さの変化ではなく、ヒゲとともに歩む新たな自分との出会い、そして別れでした。

「ヒゲの人」は刻々と変化していた

ヒゲを生やすと、「ヒゲの人」と呼ばれるようになります。

背が高い人、太った人、目つきの悪い人など、外見からくる呼び名はいろいろありますが、印象や程度ではなく、また他の人と話題にするときに比較的気を遣わなくていい表現、それが「ヒゲの人」という言葉でしょう。

つまり「ヒゲの人」は、メガネの人や金髪の人と同じように、分かりやすいカテゴリー名称なんですね。

しかし、それは逆にヒゲについての認識を単純化させてしまっているのかもしれない、とそんな気分にさせられるのが今回紹介する動画です。

ストーリーはシンプルです。ヒゲを伸ばし始めてから2カ月、ヒゲが伸びていく様子をひたすら映像に記録し、早回しで編集したものです。

一般的には、ヒゲが伸びていく様子なんて珍しくも何ともありません。しかもこの動画は表情ではなく、ヒゲの部分しか映していないのです。にも関わらず大きな注目を集めています。

それは一体なぜか。

そこにはヒゲの長さではなく、ヒゲとの付き合いが時間の経過につれて変化していく様子が描かれているのです。おそらくそれが多くの人に驚きを与え、注目されている理由でないかと考えられます。

まずは実際にご覧ください。

【The Life of the Beard】

恋愛にも似た感情が芽生える

「どうしたの、それ」ヒゲを生やしていなかった人が伸ばし始めた時、よくそんな声をかけられます。

またそれが同じ言葉であっても、伸び方のステージによって若干意味も違うのかもしれません。

生え始めの「無精ヒゲ」ステージで会う人は、「何か良くないことが起きたのではないか」と心配し、しっかり伸びて手入れが行き届いたステージになってから会う人は、「どんな心境の変化があったのか」と興味がそそられる、といった具合です。

しかし、この動画を見る限り、当人にとっては別の心境の変化が起きているようです。

ヒゲを伸ばすという行為自体に「何かを変化させたい」という自分の気持ちが表れていることが想像できます。また、ヒゲが伸びれば伸びるほど、ヒゲとの関係性が進展しているようにも読み取れます。

いずれにせよ、外見とともに、内面も変化しているようです。

改めて考えてみると、「ヒゲを蓄える」という言葉は、適切にメインテナンスされた状態で使われるもの。つまり、伸ばし放題ではなく、段階に応じて、きちんとケアされていることが前提になるわけです。

だからでしょうか。動画の主人公が伸びゆくあごヒゲをなでている仕草は、単に触っているのではなく、愛でているという表現が似つかわしい。恋愛感情にも似たパートナーとの付き合いを連想させられるから不思議です。

驚くスッキリ感

しかしながら、往々にして「人間の」パートナーには「突然伸ばし始めたヒゲ」はよく否定されます。

この彼も2カ月経って、「ついに我慢できなくなった妻」のために、ヒゲを剃ることになります。

動画の終盤、別れ惜しそうにヒゲを短くしていく様子は、見ているこちらまで寂しい気持ちにさせられます。

ところが最後にヒゲを完全に剃り落とした瞬間、本人は意気消沈した雰囲気になりますが、見ているこちら側は逆にすがすがしいほどスッキリとした新しい人物との出会いを感じるのです。一皮むけたスッキリ感です。

2カ月はヒゲを生やす人にとっても、見ている人たちにとっても、それだけ大きな変化をもたらす期間ということなのでしょう。本人にとってみれば、2カ月かけて出会った新しい自分とも言えそうです。

コミカルさ、小気味良いテンポはもちろんのこと、そんな外見と内面の変化を同時に感じさせてくれるところが、ありふれたテーマにも関わらず最後まで見せる表現力につながっているのかもしれません。

あなたもヒゲ、伸ばしてみます?

話題にできる世界の名作ネット動画、「ちょいコレ」でまた紹介しますね!

鶴野 充茂(つるの・みつしげ)
ビーンスター株式会社 代表取締役
カンパネラ「ちょいコレ」監修。ビーンスター株式会社 代表取締役。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会理事。コミュニケーションの専門家として、トップマネジメントやリーダーに情報発信やプレゼン、メディア対応についてアドバイスしている。 著書は、25万部超のベストセラー『頭のいい説明すぐできるコツ』(三笠書房)ほか『世界のエリートはなぜ次々とチャンスをつかむのか?』(宝島社)、『なぜ経営者は 「嘘つき」と言われてしまうのか?』(日経BP社)など二十数冊。日経ビジネスオンラインで「金曜動画ショー」、月刊「広報会議」でネット危機管理の連載 も持つ。