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お天気キャスターと振り返る2014年、一緒に占う2015年

「年に1度か2度かといった大きな事象が、今年は5回も起きました」

文:高下義弘 / 写真:的野弘路 12.25.2014

活躍中の気象予報士・お天気キャスターたちが一挙に集まるトークイベント。森田正光さんたちに、私たちが天気にどう向き合えばいいかを聞きました。

2014年12月3日、テレビやラジオ、ネットなど各所で活躍中の気象予報士・お天気キャスターたちが一挙に集まるトークイベント「お天気キャスター・気象予報士大集合'14 ~津波・天災を忘れないために~」が催されました。

「気象庁が定めた特別警報は、住んでいる地域で数十年に一度しかないような危険な状況のときに発表するものです。全国的にみれば、日本のどこかで『年に1度か2度の事象』というのがおおよその基準でした。なのに、2014年は5回も発表された」。

気象関係の著述業や青山学院大学の非常勤講師を手がける饒村(にようむら)曜さんは、2014年のお天気をこう振り返ります。饒村さんは以前は気象庁に勤務し、各地の気象台長を歴任してきた方です。

来年2015年も引き続き、お天気に注意が必要だそうです。ウェザーマップ社長でお天気キャスターの森田正光さんは「異常気象を警戒すべき状況は、しばらく続くでしょう」と語ります。

会場は東京お台場のレストラン兼イベントスペースのTOKYO CULTURE CULTURE。右からライターの加藤順子氏、半井小絵氏、饒村曜氏、ボーカルグループRAG FAIRに所属し保育士としても活動している奥村政佳氏、お天気キャスターの木原実氏、ウェザーマップ社長でお天気キャスターの森田正光氏。各人とも気象予報士の資格を持つ。一番左はTOKYO CULTURE CULTUREのプロデューサーであるテリー植田氏。来場者と一緒にお酒を交えながら今年の天気を振り返った
トークイベントの趣旨は、昔ながらの祭り。「楽しくなければ続かない。続かなければ、災害の教訓は後生に伝わらない。だから楽しい祭りを定期的に開催し、祭りの場で中身をちゃんと伝えていく。それが教訓を後世に伝える良い方法なんです」(饒村氏)。京都・祇園祭(ぎおんまつり)の中心である山鉾巡行のルーツを、869年(貞観11年)に発生した貞観地震に求める説があるそうだ
「2014年は、記録的な異常気象が複数回も発生した。例えば2月に関東甲信越地方で発生した記録的大雪、7月に沖縄を襲った台風7号、8月の台風11号と12号による大雨、9月の台風18号、10月の台風19号が代表的だが、『年に1度か2度か』といった大きな事象が、今年は5回も起きた」と驚きを隠さない饒村氏。9月の台風18号では全国の約356万人に、10月の台風19号では約181万人に避難勧告が出された

そのような中で、私たちは天気にどう向き合えばいいのでしょうか。著名お天気キャスターの皆さんと一緒に、2014年のお天気の総括と、2015年のお天気を占ってみました。

「最後に判断するのは1人ひとり」

【森田正光さん(ウェザーマップ社長、お天気キャスター)】

最近、「極端気象」が増えています。これまで観察されてきた気象現象とは大きく異なる現象のことを指します。この極端気象について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は「極端気象の一部は、人為的な影響によって引き起こされている」と言っています。人為的な影響とは、例えば温室効果ガスの増加です。

夕立は日中における気温の上昇を、雨によってバランスを取ろうとしている現象です。このように自然界は人間活動によって崩されたバランスを、いろいろな形で取り戻そうとする。台風や竜巻といった現象は人間にとっては天災だけど、元をたどると人災であるという可能性もあるわけです。

そのくらい自然というのは本当に複雑かつ緻密なシステムだと言えます。個々の要素を見ているだけでは分からないけれども、実は全てがジグソーパズルのようにつながっている。人間がここを意識しておかないと、たぶん根本的な対策はできないんじゃないかと思うんです。

2014年は国内で特別警報が5回も出された。特別警報は年に1回か2回かという想定でつくられた仕組みであるにもかかわらずですよ。本当に最近の気象現象については、気象予報士をしている僕らだって驚くほどです。

気候が大きく変わる時は、極端な気象現象と、それに伴う災害が増えると言われています。今はまさにそういう時代なんだと思います。そして過去の災害を振り返ると、安全だと思ってその場所に居座っていたら災害に巻き込まれてしまったというケースが多い。だから、ついつい人は気象に関する情報を過小評価しがちなんだけど、それでも念のためという意識で避難することが必要なんだと思います。

天災で身の危険を感じるような事態に直面した人は少ない。だから、避難勧告などを大げさだと感じるんですね。でも、いざという時には自分の身と家族の安全を確保しなければいけない。大げさと感じることを自覚したうえで、気象に関する情報には常に耳を傾けていてほしいですね。

いま、人工知能がすごく発達していますよね。将棋の世界ではプロがコンピューターに負けてしまう時代です。気象の世界でも同じことが言えて、予測は基本的にコンピューターがやるという時代になっています。予測精度は今後どんどん上がっていくでしょう。

ただし、コンピュータで必ずしもすべてを網羅できるわけではない。最後の部分をおさえるのは人間です。特に大事なのは、その情報をもとにどう行動すべきかを判断することです。判断には一定以上の知識、信頼、権限が必要で、社会でそれを中心的に担う役割が、やはり気象予報士です。

気象予報士の資格を持っている人は9000人くらいとされていて、そのうち実際に天気予報を職業としている人の割合は1割に満たないと言われています。職業にするかどうかというと難しいところがあるのですが、極端気象が増えている今、気象の体系的な知識を持った人が地域や職場に増えるメリットは大きいと思うんです。

天気予報が、今ここにいる自分たちにとってどういう意味を持つのか。どのくらい危険なのか。実際に避難すべきかどうか。こうした考え方が、隣近所という身近なレベルで浸透していくからです。そうすれば、人の命がきちんと守れる。気象予報士がもっと地域や職場で活躍する姿になればいいなと思っています。

つい真面目になって天気のことを熱く語ってしまうけど、やっぱりこういうイベントを「お祭り」として楽しく開催することは大事。お酒ですか。僕はビールが好きです。ビールだったら何でも飲みますよ。(談)