今月のビッグイシュー

商店街が宴会場に!高知の「日本一の大おきゃく」

街中が酒飲みパラダイスに。今年は3月14日(土)と15日(日)の二日間

文:須田泰成 02.05.2015

自然に恵まれた美食と美酒の天国・高知県は、酒飲みに寛容な県民性でも知られている。毎年、春の訪れを告げる「日本一の大おきゃく」は、商店街全体が酒場になるビッグイベントだ。

イラストレーターやエッセイストとして活躍している吉田類さんをはじめ、有名な酒豪を輩出してきた高知県。ここは酒飲みにとって居心地の良い土地柄だ。おいしい酒と肴(さかな)が豊富というだけでなく、酒に寛容な文化が根付いている。

総務省が2008年から2012年までの家計調査に基づいて算出したデータでは、高知県は、都道府県別の飲食費用が日本一だった。

人生は酒とともに楽しむもの。そんな高知ならではのスゴい宴会イベントが「日本一の大おきゃく」だ。今年は3月14日(土)と15日(日)の二日間で開催される。高知では、宴会のことを「おきゃく」と言う。

アーケード商店街のこたつ飲みで癒やされる

自由で、楽しくて、参加する人は皆平等というのが高知流。毎年、春の初めに行われる「日本一の大おきゃく」は、なんと高知市中心部のアーケード商店街や公園がそのまま宴会場になる。

写真は、昨年2014年のもの。ご覧のようにアーケード商店街や公園のあちこちに長く巨大な飲み屋が出現するのだ。場所によって、いろんな趣向の店がある。

椅子にテーブルだけでなく、畳に座敷の店もある。魅力的なのは、こたつのある店。そこだけ実家に帰ったよう。一度入ったら、なかなか抜けられない。

七輪の網の上で、干物や野菜など、高知の山海の美味をジュージュー焼いている店は、辺り一帯に美味そうな香りが充満している。

高知のトマトを集めたトマトサミットは、種類が多いことで知られる高知のトマトをたくさん食べることができるなど、商店街や公園が高知の食の博覧会のようでもある。

トマトサミットの様子

鮮魚店や蒲鉾(かまぼこ)店、総菜の店などが集まる大橋通り商店街の路上店では、まず、白ごはんを買うところからスタート。白ごはん片手にお店をめぐり、刺身や蒲鉾や揚げ物、総菜などを少しずつ買って乗せると、世界で一つだけのマイ丼の出来上がり。

とにかくユニークな店が多いのだ。

ここ数年、他県からのリピート客が増えているという。事務局に問い合わせると、他県の客は地元の客よりも優先的に予約や案内に応じてもらえる。高知の宴会文化を少しでも外の人々に知ってもらうイベントだからだ。

街中で大勢の人たちが酒を飲み、酔いを楽しんでいる。その盛り上がりが、とてもオープンなのだ。たまたま隣りあった人たちと乾杯して一緒に飲むのも高知流。他人同士なのに、まるで同窓会のように盛り上がる様子も、ここでは普通の風景だ。

この2日間にわたって催される、まさに日本一の宴会イベントがすごいのは、早い店は朝の10時からスタートするということ。場所によって異なるが、夜21時頃まで宴は続く。

酒を飲むこと、イコール生きる喜び

ご紹介した「日本一の大おきゃく」は、毎年3月第1土曜日から9日間行われる「土佐のおきゃく」の中のイベントの一つである。

今年は、3月7日(土)から15日(日)まで、「土佐の『おきゃく』2015」として開催。今回で10回目を迎えるという。

ポスターを見ていると、この祭りの雰囲気が感じられる。老いも若きも、男も女もわけへだてなく宴会を楽しむイメージである。これは誇張でも何でもない、リアルな高知の宴会の姿である。未成年者は、もちろんノンアルコールであるが。

コピーがまたイベントの雰囲気を粋な感じで伝えている。

「ここに人あり、自由あり。」
「酔って候、浮かれて候。」

土佐の「おきゃく」2015は、単に飲むだけではなく、高知の酒や食の生産者が参加する食文化イベントとなっている。そして食だけでなく、アート、音楽、スポーツ、漫画、温泉などの要素が盛りだくさん。全国でも珍しくなった路面電車が宴会電車になるという面白い企画は、高知の街の風景を見ながら楽しめる。

また、ご当地グルメの屋台は、海と山に恵まれた高知各地の美味しいものを満喫できる。

高知で酒を飲むということは、すなわち人生を謳歌する、楽しみ尽くすということ。酒を飲むことは、イコール生きる喜びなのだ。

おきゃくを通して、生きる喜びを改めて味わってみるのも悪くない。

須田泰成(すだ・やすなり)
コメディライター/地域プロデューサー/著述家
1968年、大阪生まれ。全国の地域と文化をつなげる世田谷区経堂のイベント酒場「さばのゆ」代表。テレビ/ラジオ/WEBコンテンツや地域プロジェクトのプロデュース多数。著者に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、絵本『きぼうのかんづめ』(ビーナイス)など。
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