フードブリッジ0141

知ればもっと美味しい!飛騨高山の地元スーパーが伝える食文化

文:秋元 しほん 03.19.2015

飛騨高山にある地元密着型スーパーが話題を呼んでいる。地元の買い物客に地元の品を売り続けるという方針を貫いたことが功を奏し、全国レベルで話題に。地元の食文化を発信する拠点となった。スーパーの奮闘ぶりと飛騨高山独特の食文化を紹介する。

地域密着型スーパーは食文化の発信地

ファミリーストアさとうの店舗にも変化があった。あげづけをきっかけに、地元の人だけでなく観光客が店を訪れるようになったのだ。観光客たちは、あげづけや漬物ステーキ、めしどろぼ漬などをお土産として買っていく。

外の人たちから見ると、飛騨高山の食文化は珍しくそして魅力的なお土産品に映るのだ。手ごろな価格なのもうれしい点だ。

そんな中でも観光客やネットスーパーで特に売れているのが、めしどろぼ漬だ。めしどろぼ漬は、白飯を奪ってまで食べたくなるという意味から名付けられた、地元でも人気のご飯のお供である。ネーミングに惹かれてお土産品としてもよく売れているという。ほかほかご飯に乗せるだけでなく、チャーハンの具材にもお勧めだ。

ご飯に載せためしどろぼ漬

地元以外の人たちによって、その面白さが再発見された料理もある。それが「汐(しお)ぶり」だ。汐ぶりは飛騨高山の気候を生かして低温熟成された、年末に食べる料理である。

飛騨地方には「年取り」という大みそかにごちそうをいただく風習がある。年取りは元旦よりも重要で、年末年始だけ奉公先から戻ってきた人たちをねぎらいながら、皆で年を越していた。いまでも故郷を離れた人たちが帰省し、汐ぶりなどのごちそうを家族で囲みながら年を越している。

昔は保存技術がなかったため、ブリは塩漬けにされていたが、昔ながらの食べ方はそのまま残り、年越しには欠かせない料理となっている。低温熟成された汐ぶりは、うま味が増し甘みを感じるという。

汐ぶり

飛騨高山の独特の日常食を大切にしつつ、その日常食が持つ文化を日本全国に発信していく。佐藤氏は「飛騨高山らしさ」にこだわり、それを伝える使命感に燃えている。

「いつでも手が届く。日常食を『非』日常食にしない。これまでと変わらずそこにある地元の生活に溶けこんだ商品を取りそろえ続ける。これからも地域の人たちと一緒に、飛騨高山の食文化を伝え、飛騨を感じてもらえる商品を紹介できる場として頑張っていきたい」。ファミリーストアさとうの役割を、佐藤氏はこのように語る。

食べ物は素材や作り方で美味しさが変わってくるが、生まれた背景を知ると一味違った美味しさが加わってくる。

このコラムのタイトルは、「フードブリッジ0141」だ。「美味しい」を数字で表すと「0(お)1(い)4(し)1(い)」。ただし、読み方はゼロイチヨンイチ。読み方は、知っている人にしか分からない。

知っている人しか知らないけど、知ればもっと美味しくなる。飛騨高山には、0141がたくさん詰まっている。

秋元 しほん(あきもと・しほん)
兵庫県尼崎市生まれの埼玉育ち。30歳の時に思い立ってフリーランスになり、雑誌、書籍、Webサイトなどでライターや広報業務を行う。現在、食品関連会社に勤務中。幼少時、家族で出かけると必ず迷子のアナウンスが掛かったほどの寄り道癖が、今の仕事に役立っていると信じている。
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