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【Editor’s Eye/ニュース&トレンド】: 2014年5月号

設計はザハ・ハディド。韓国に建ったデザイン関連施設

2014年4月30日(水)

 3月21日、韓国・ソウル市のファッション関連産業が集積する繁華街、東大門に「東大門デザインプラザ(DDP)」がオープンした。日本の新国立競技場も手がけるザハ・ハディドの設計で、建築面積2万5008?、述べ面積8万5320?、地下3階、地上4階。2つのホールと国際会議場、韓国の文化とデザインを学ぶ博物館、デザイン展示館、市民がデザインと触れ合う「デザイン遊び場」、デザイン&アートショップなどで構成される。年間550万人の来館者、東大門商圏の活性化やクリエーティブ産業発展への波及効果により、今後20年間で13兆ウォン(約1274億円)の経済効果を見込んでいる。

スロープ状の通路は1周533mで両側の壁は展示スペースとして使われる予定
「デザイン遊歩道」と名付けられた階段は各階ごとに形態が異なる

 オープンは当初の計画より約2年遅れた。その理由は主に2つある。1つは朝鮮王朝時代の城郭や水門、首都防衛を担っていた下都監の遺構が工事中に発見されたこと。もう1つはソウル市をデザインで変革する「デザインソウル」政策を掲げていたオ・セフン前市長が、小中学校の給食無償化の住民投票が不成立に終わった責任をとって2011年に辞任。市民運動に長年関わってきたパク・ウンスン氏が補欠選挙で当選して、専門家だけではなく市民の意見も取り入れ、コンテンツの見直しが行われたためだ。

 当初の計画ではDDPを世界のデザインハブとして位置付け、「韓国のデザイン競争力を画期的に改善し、デザイナーおよびデザイン専門企業の力を最大限に引き出し、デザイン産業の未来をリードする基盤を整える」としていた。今は「より良い社会を想像して夢見て、クリエーティブマインドを高め、多様なライフスタイルを楽しむ」ための場所として位置付けられている。デザイン産業を育成するだけではなく、ソウル市民全体のための施設という色合いが加わったことが分かる。

夜間は内部照明がゆっくり明滅して、SF映画に出てくる宇宙船のような景色が出現する。「未来路」と名付けられた通路の上にせり出したカンチレバーは幅35m、長さ120mで世界最大

 建築工事も難航した。外壁を覆うアルミパネルは合計4万5133枚。当初はドイツの企業に製作を依頼したが、1枚ごとに模様が異なり手作業になるため、すべて作るには20年かかると言われ、韓国国内で新しくアルミパネルの製作技術を開発した。建築費は当初予算の2倍を上回る4840億ウォン(約475億円)に膨らんだ。

 維持費は年間320億ウォン(約31億4000万円)に上る。運営はソウルデザイン財団が担当し、ソウル市からの財政支援が無くても運営できる「自立経営」を目指す。ショップのテナント収入、駐車場収入、ホールや会議場の使用料収入、博物館など展示施設の入館料などでまかなう予定だ。

(勝尾岳彦/日経デザイン編集委員)

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