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第2回 「弁護士、ビジネスパーソンこそ、政治家にふさわしい」

2011年11月4日(金)

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今回は、数多くの法律家・行政官を輩出している日本屈指の法律資格・公務員試験の受験指導校、「伊藤塾」の塾長で、弁護士の伊藤真さんとの対談です。伊藤さんは、弁護士(法律家)、ビジネスパーソンこそ、政治家にふさわしいとのご意見。まさに、3.11後の政治変革の主役になりうる人材をテーマに考えていきます。

国政の改革は地方・首長からはじまる

金野:まずは、日本の政治状況と統治機構の観点から、地域起点で首長が日本政治の変革を推進する。この切り口について、いかがお考えですか?

伊藤 真さん
東京大学法学部卒業後、司法研修所入所。
司法研修修了と同時に弁護士登録。
その後、真の法律家の育成を目指し、司法試験の受験指導にあたる。
「伊藤塾」塾長
「法学館法律事務所」所長
「一人一票実現国民会議」発起人

伊藤:私も地方からの国政の改革は可能だと思います。しかし、残念ながら今の日本では、中央も地方も政治家が本来の役割を果たしているとはいえません。日本国憲法の大きな特徴のひとつは、地方自治を独立の章として、憲法上保障したことです。本来、憲法が想定する国家の仕組みでは、中央と地方の役割分担をかなり明確にしています。世界的に見ても、あそこまで明確に地方自治というものを憲法の中に取り込んでいる国も当時は珍しかったでしょう。ですから、戦前の中央集権においては、中央で決めたことを地方に浸透させるために、内務省の役人が国から知事として任命され、中央の出先機関のような都道府県に派遣されていました。それが、戦後は中央と対峙して独立に政治をしていけるように、きちんと憲法上の位置付けを与えられたのです。

 その意味は2つあって、1つは中央に権力が集中し過ぎるのは良くないということです。例えば、内務省に集中していた警察権力を各都道府県警に分け、教育行政なども地方に分散させました。歴史的に見ても、国家権力というのは中央に集中させてしまうと、どうしても逸脱・乱用を引き起こします。だから権力をいかに分散させるかという観点で、地方自治を非常に重要なものとして位置付けました。

 2つ目は、住民に身近な地方自治体が、自ら住民にとって必要な政治を行う点です。「現場主義」と言い換えてもいいかもしれませんが、地域の住民の民意を汲み上げ、それぞれの地域の特性に応じた政治を実現していくことです。昔から地方自治は「民主主義の小学校」と言われています。まさに市民・住民が、自ら政治に参加し、その住民から見える政治、民意の反映が実感できる政治というものを地方自治で培っていくことが重要なのです。現状ではなかなか現場主義が実現できているとはいえませんが、地方でこれを実現できれば、ゆくゆくはそれを国家レベルにまで引き上げていくことも可能だと思います。ですから、中央に権力を集中させないで、むしろ抑制、分散させた方がよいのです。そういう大きな狙いがあって地方自治を憲法は保障しているのです。

 この狙いを達成するために、憲法は中央の政治の在り方とかなり違う特徴的な仕組みを地方において採用しました。例えば、国政は議院内閣制を採用していますので、国民は直接行政のトップである内閣総理大臣を選ぶことはできませんが、地方自治体においては首長制を採用し、かなり多く直接民主的な制度を取り込んでいます。その趣旨は、国政レベルでは慎重な意思決定、つまり、多様な民意を統合して、ひとつの国家意思にまとめるためには慎重な議論が必要だということです。これに対し地方自治体では、首長・議員の両方を住民が直接選びます。よって首長と議会は、対等な立場なのです。国会は国権の最高機関ですが、地方議会は行政のトップである首長と対等で、議会が上だということはまったくありません。そして、住民から直接選ばれた首長が迅速な意思決定と強力なリーダーシップを発揮できるようにする一方で、議会が歯止めをかける、チェック機能を果たすということが想定されているのです。つまり、地方ではより政治に民意を反映させるようにしているのです。

 このように直接住民から選ばれている地方自治体の長というのは、ビジョンと能力さえあれば、本来あらゆることができるのです。住民の声を反映した形で、さまざまな改革が実現できるはずなのです。ところが、現状では国と地方の役割分担が不明確な上に、首長自体も自らの権限というものを正しく認識していないので、あまり力が発揮できていません。このように、首長の役割は国会・国会議員に匹敵するほど極めて重要なのです。

金野:まさに私どもの日本政策学校は、そこが1つの大きなメインのテーマだと思っていますし、今おっしゃったように地方自治は「民主主義の小学校」であるという部分では、本当に住民に近いところで、住民自治をやれる場ですから、民間というか、生活者の立場に非常に理解の深い人間が、首長にはふさわしいと思います。そういう意味で、民間にいる人間が、首長になっていくというのが一つの流れであり、この国の行政を変えていく、政治を変えていく上では極めて重要なことですよね。

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「第2回 「弁護士、ビジネスパーソンこそ、政治家にふさわしい」」の著者

金野 索一

金野 索一(こんの・さくいち)

財団法人日本政策学校・代表理事 / 多摩大学経営大学院・客員教授

コロンビア大学大学院国際公共政策大学院修士課程修了。平成維新の会・政策スタッフ、政策学校・一新塾、起業家養成学校アタッカーズ・ビジネススクールの経営、公益財団法人東京コミュニティ財団評議員等を経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長