国内外で企業の競争は激化の一途をたどっている。そこでは日本企業の競争力を支えてきた高品質・高機能といった従来の強みが通用しなくなり、多くの企業が窮地に立たされている。
そうした中、IT(情報技術)の進化に伴って蓄積されてきた膨大なデータを分析して活用し、収益の維持や拡大に結びつける「分析力」が、新たな企業の武器として注目され始めた。
企業は分析力をいかに磨いて競争力を取り戻すべきなのか──。識者や先進企業の実務家へのインタビューを通して、その道筋を明らかにしていく。
初回は、『分析力を武器とする企業』(日経BP社)、『分析力を駆使する企業』(同)を著し、分析力を活用する経営の理論的支柱であるトーマス・ダベンポート氏(米バブソン大学教授)へのインタビューを紹介する。
(取材構成は、中野目純一=日経ビジネスオンライン記者)
── 「分析力(アナリティクス:Analytics)」をテーマとした最初の著書『分析力を武器とする企業』で、そもそも分析力にフォーカスしたのはなぜだったのですか。
ダベンポート:私はそれまでナレッジマネジメント(知識経営)について長年研究してきました。その対象には、富士ゼロックスや三菱商事など日本企業もいくつか含まれています。
その結果、データから生まれる知識が、従来に比べてはるかに重要な経営資源になっているという思いを抱きました。そこで1999年にデータを分析して新たな知識を生み出す分析力についての論文を書いたのです。しかし、この論文は全く注目されませんでした。
その後、分析力の活用に積極的な企業について研究しました。そして2006年に米ハーバード・ビジネス・レビュー誌に論文を発表した。驚いたことに今度は大きな反響がありました。そこで分析力をテーマとした書籍を執筆することにしたわけです。
── 最初の著書で、分析力は企業に競争上の優位をもたらすと主張されました。どのようにして競争優位はもたらされるのでしょうか。
ダベンポート:さまざまな方法があります。データの分析は、サプライチェーンの最適化に用いられることもあれば、顧客が何を欲し、何を必要としているかをより詳しく理解するために活用されることもある。製品やサービスの適正な価格を決めるためにも使われます。
重要なのは、自社の戦略を理解し、戦略を実現する際にカギとなるプロセスが何かを把握することです。そして、どのようなデータ分析を行えば、戦略やそのカギを握るプロセスの実行に役立つのかを考えることが求められます。
── 分析力についての2作目である『分析力を駆使する企業』を執筆した理由は何でしょう。なぜ2作目を書く必要があったのですか。
ダベンポート:『分析力を武器とする企業』の対象が限られていることに気づいたからです。
実は分析力を武器として競争に勝とうとしている企業はそう多くはありません。大半の企業は、データを分析する能力を改善して、よりデータに基づいた意思決定を下すことを目指している。2作目は、こうしたニーズを満たすために書きました。データの分析を上達させるために何をすべきかについて記しています。
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