「ねじれ国会」問題の本質は内閣対国会の問題――。欧米の政治制度や日本の国会の仕組みに詳しい大山礼子・駒澤大学教授はこう指摘し、国会審議の活性化を通じた合意形成の重要性を説く。「強すぎる参院」に対処するための取り組みも急ぐべきだと強調する。
(聞き手は安藤 毅)

1954年東京生まれ。一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。国立国会図書館勤務、聖学院大学教授を経て2003年より現職。専門は政治制度論。著書に「日本の国会――審議する立法府へ」(岩波新書)など。
(写真:都築雅人)
――衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」で物事が決まりにくい状況になっている。
大山:ねじれ自体は民意の反映であり、参院選挙が政権に対する評価を問う中間選挙の性格を強めた以上、不可避的に起きる。他国でも珍しいことではない。
――どうして日本では機能不全になってしまうのか。
大山:ねじれの問題は衆院対参院という二院制の問題ではない。
衆参の対立をどう解決するかが注目されがちだが、主要国ではねじれ状態にあっても、内閣が法案を両院と協議して妥協点を探り、成立させている。内閣対国会の問題にこそ、ねじれ問題の本質がある。
問題の本質は「内閣対国会」
――国会審議にこそ問題があると。
大山:現行制度の下では、いったん法案が提出されると、内閣には国会審議に関与する手段はほとんどなくなる。
しかも、国会法59条の規定で、内閣修正には議院の承諾が必要なうえ、「一の議院で議決した後は、修正し、又は撤回することはできない」としている。
大半の法案は衆院の先議なので、参院に法案審議が移ると、内閣は手の打ちようがない。だから、小渕内閣の金融国会のように野党案を丸呑みするしかなくなる。
自民党政権下では、実質的な法案審査が国会提出前に行われる事前審査制が行われてきた。事前審査では与党の全会一致による了承が原則だったため、法案の国会提出後は政府と与党が国会審議の運営に協力することで、原案通りの可決を図ってきた。
これは、内閣に代わって与党の主導により、法案成立を確実なものにするための工夫だったと考えられ、与党が衆参で多数を獲得している間は与党や官僚にとっても便利な仕組みだったが、その分、国会審議の空洞化が進んでいた。
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