「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」

金儲け主義はマイナス。ファンを大切にする姿勢で47年

ピーター・バラカンさんインタビュー

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2012年2月14日(火)

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 英国出身の音楽評論家、ラジオDJのピーター・バラカンさんは、もう30年以上、日本で音楽番組のパーソナリティを務めてきました。メジャーや流行に左右されず、自分が本当に好きな海外のポップミュージックを紹介するスタイルで、熱心なリスナーが多い方です。

 そんなバラカンさんが「好きなアーティスト」として公言するバンドが、アメリカ西海岸のヒッピー・カルチャーの象徴であるグレイトフル・デッド。ファンを大事にする姿勢を貫き、「金儲け主義」に走らなかったからこそ、インターネット時代に重要な、人を惹きつける魅力を獲得できた、と語ります。音楽を愛する人の立場から、彼らに「マーケティングを学ぶ」本をどう読んだか、お聞きしました。

―― ピーター・バラカンさんは、ご自身のラジオ番組「BARAKAN MORNING」でこちらの本『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』を取り上げてくださいました。以前よりグレイトフル・デッドのファンだったとうかがっています。

ピーター・バラカン氏(写真:陶山 勉、以下同)

バラカン:番組のリスナーの方がメールで、「こういう本が出ているよ」と教えてくださったんです。実は日本版を待てずに、原書のほうを先に読みました。グレイトフル・デッドがライブを中心に活動していて、ファンを大切にしてきたことは、もちろん昔から知っていましたが、それをビジネスに当てはめるという着眼点が面白いですね。この日本語版も売れているんですって?

―― おかげさまで、増刷して現在5刷になり、3万部を超えました。

バラカン:日本でですか? それはすごいですよ。グレイトフル・デッドについての本がそんなに売れるなんて。日本では彼らの名前は、知っている人はよく知っているけれども、知らない人はまったく知らないでしょう。グレイトフル・デッドの名前を聞いたことがあっても、1曲も聴いたことがないという方が圧倒的に多いでしょうね。ビジネス書として売れているんですか?

ファンは彼らのやっていることを「マーケティングだ」とは全然思っていない

―― 書店では、ビジネス書やマーケティングのコーナーだけでなく、音楽の棚にも置いていただいていて、そちらでもかなり売れています。

バラカン:もちろん日本にも彼らの熱心なファン、いわゆる「デッドヘッズ」は一定数はいます。デッドのファンはものすごく忠実なんです。ただ、この本を読めばよく分かると思うんですけど、なぜファンが忠実なのかというと、ファンは彼らのやっていることを「マーケティングだ」とは全然思っていないからなんですね。

 デッドはヒッピーの精神をずっと忘れずに活動していて、ファンのことをとても大事にしてくれる。例えば、これも本に出てきますけど、コンサート会場には「テーパー」と呼ばれる、ライブを録音する人たちのために、マイクなどの録音機材を置く場所を確保していました。そんなふうに、どうぞ録音してくださいという姿勢を取ったのは、グレイトフル・デッドが初めてだったんですよ。

 リーダーのジェリー・ガルシアは、「自分たちが演奏した音は、我々の手を離れれば空気の中に放たれるものだから、みんなのものだ」という考えを持っていたんです。演奏したら、もはや我々だけのものではない、と。これは、本当にヒッピーの精神なんですよ。

(撮影協力:「ダイニング&バー 2031」東京都渋谷区神山町16-4)

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著者プロフィール

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス、日経クリック、日経パソコン編集を経て、2006年2月から日経ビジネスオンライン副編集長、編集委員を務めた後、2010年4月から日経ビジネスアソシエ副編集長。ツィッターはこちら



このコラムについて

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

翻訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)の解説・監修をつとめた糸井重里さん。
「この本には、ぼくが「こうやりたい」と思っていたようなことがまるまる書いてあったんです」
ビートルズよりストーンズより儲けてしまったバンドの秘密。それはフリーでシェアでラヴ&ピースな、21世紀のビジネスモデル。
オバマ大統領から、スティーブ・ジョブズまで、米国トップは皆グレイトフル・デッドから学んでいた! そのほか、グレイトフル・デッドの教えを実践する、グーグル、アメリカ陸軍、COACH、Kindle、アマゾン、マクドナルド、ビル・ゲイツなどの事例も満載してます。この話題の本を題材に、糸井さんやマーケティングや音楽業界の専門家たちにデッドの魅力を語って頂くのが日経ビジネス版の『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』です。

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