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増税する前に、徴税漏れを何とかしませんか?

最終回:番号制度で格差を是正できるか

2012年2月27日(月)

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 前回、森信茂樹氏、明石英司氏の話から、財政再建を成功させるには、歳出削減と増税のバランスがより重要であることが浮き彫りになった。ただ足元、歳出削減と消費税増税のあり方はまだ不透明。最終回の今回、増税を前に手当てすべき課題について取り上げる。予定されている2段階増税や、消費税増税の逆進性解消に必要な給付付き税額控除やそのための番号制度など、新たな制度は果たして機能するのだろうか。現在検討されている仕組みの問題点を探る。
現在、5%から8%、8%から10%という2段階増税が提案されています。個人や企業活動にどのような影響がありそうでしょうか。

明石:いきなり現状の倍の10%はきついだろうからということで2段階増税になっているわけですが、8%への改定から1年半でまた上がるのが見えているのなら、財政の早期再建のために直接10%でもいいのではという意見もよく聞きます。

明石 英司(あかし・えいじ)
中央大学大学院国際会計研究科特任教授。一橋大学大学院国際企業戦略研究科非常勤講師。税理士。1983年アーサーアンダーセン会計事務所税務部門に入所。KPMG税理士法人を経て、2011年から現職。前職では、一貫してトランザクション・アドバイザリー・グループの統括パートナーとして国際案件を中心に活躍した。

 一方業者側では1年半で8%から10%にまた上がると、価格を示す看板、メニュー、パンフレットなどの改訂作業を2回しなければいけない。そのムダを敢えてやって需要をつくるという逆説的な見方もあるかもしれないですが、それは壮大なムダに思えます。システム上の税率変更とシステムエラーのチェックも2度しなきゃいけない。

 また経理的には、売掛金が貸倒れた時や一部のリース取引などの会計処理にあたり、5%、8%、10%のどの時点の取引にかかるものなのか3分類でチェックしなければいけなくなります。税率が3つよりは2つ、すなわち5%から10%に直接上がる方が事業者からすると簡便といえます。

森信:消費税を考えるときに難しいのは、事業者の立場に立つか、消費者の立場に立つかです。事業者の立場に立つと、引き上げは中小企業にしわ寄せがきて倒産するからとんでもないという話になる。しかし、価格が上がるのは大企業も一緒です。少しでも価格引き上げ分を少なくしようとコスト削減の努力をすれば、生産性が向上するので、消費者の利益になる。このような議論はTPP(環太平洋連携協定)でも一緒です。事業者の立場に立つと競争が激しくなるからいやだとなる。しかし消費者の立場に立つと競争の結果、消費者全員に広く薄く利益が及ぶ。どちらの立場に立つかでかなり議論が違う。

消費税もコストの1つに過ぎない

 手間の件ですが、2度の引き上げがあると経過措置が複雑になりかねないという問題があります。一方、コンピューターでのレジシステムは進んでいるので、5%から、8%、8%から10%、という税率変更はそれほど大きなコストはかからないと聞いています。

 資本主義の世の中では、価格は消費税率の引き上げと言うコストで決まるのではなく、需要と供給で決まると割り切ることも必要ではないでしょうか。フランスの大蔵省の人たちと議論した時、フランスではたとえば来年4月から付加価値税が上がるとなったら、売れ筋のものは増税実施前から価格を少しずつ上げていくそうです。これは違法でも何でもない。日々仕入れコストは変わるし、電気代も変わる、アルバイト代も変わるわけです。そのたびに値段を張り替えているわけじゃない。消費税もワン・オブ・ゼムのコストに過ぎないのです。重要なことは、事業者が価格を適宜見直して、全体として自らのマージン(利益)が確保できていればいい。

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「増税する前に、徴税漏れを何とかしませんか?」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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