「常盤文克×御立尚資 “脱常識”から始まるニッポン企業の改新」

サプライ「チェーン」を「ネスト」に進化させよ

系列を見直し「中型」「小型」企業の持ち味を生かす

  • 小林 佳代

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2012年3月9日(金)

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 2011年3月11日に起きた東日本大震災──。東京電力福島第1原子力発電所の事故を併発した未曾有の大災害によって、日本企業の事業活動は甚大な被害を受け、多くの課題が浮き彫りになった。

 あれから1年。タイの洪水や超円高の追い打ちに遭い、日本企業の多くは再浮上のきっかけをつかむどころか、さらなる苦境にあえぐ。この事態から抜け出すにはどうしたらいいのか。

 花王元会長の常盤文克氏とボストンコンサルティンググループ日本代表の御立尚資氏。日経ビジネスオンラインでコラムを連載する2人の論客が語り合う。

 2回目の今回は、東日本大震災で浮き彫りになった日本企業の強みと弱みを振り返り、今後あるべきマネジメントについて追求する。

(取材構成は、小林 佳代=ライター)

前回から読む)

御立:東日本大震災に直面し、気づいたことがあります。企業によって、危機への対応に差は出たものの、日本企業には共通する強さと弱さがあったということです。

常盤:どのような強さと弱さでしょうか。

御立:強さは「経験から学んで備える」ことが非常に得意な点、弱さは「経験していないことに想像力を駆使して備える」ことが苦手な点です。

 防災の世界では死者・行方不明者50人以上の地震を「被害地震」と定義します。日本では1800年以降の210年間で34回の被害地震が発生しました。6年強に1回のペースです。我々日本人は、実に頻繁に大きな地震による被害を受け、痛い目に遭う度に「次にはそうならないようにしよう」と改善してきました。

 例えば、1923年の関東大震災を受け、世界で初めての建築耐震基準を法制化しました。耐震規制が定着していたことで、今回の震災でも地震では建物はほとんど壊れませんでした。

 東日本大震災では、新幹線に設置されている「ユレダス」と呼ばれる早期地震検知警報システムが功を奏しました。50キロ離れた震源からの地震波を検知し、緊急ブレーキをかけて、運航中だった新幹線は1台も故障することなく、1人のケガ人も出さず安全に停止したのです。

危機を徹底的に想像することができなかった

御立:企業の対応も同様です。何回も震災を乗り越えてきているので、BCP(事業継続計画)が出来上がっていた。マニュアルを超えるような事態に対しても、経験に基づいて何とか対処することができました。

 一方、「想定外」という言葉がたびたび使われたように、「起こらない」前提の中で「いざ、起こってしまった」ことへの対応は不十分なものでした。東京電力の福島第1原子力発電所の事故が典型です。

 他の企業でも、通信が途絶するなど、機転を利かせて対応しなくてはならない場面で弱さを露呈しました。危機を徹底的に想像し続け、それに対するシナリオを作り、準備しておくことが足りなかったのだと思います。

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