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米国型の企業統治から脱却し独自性を取り戻せ

第2回 加護野忠男・甲南大学特別客員教授に聞く

  • 峯村 創一

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2012年3月6日(火)

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 2011年3月11日に起きた東日本大震災──。大津波や原発の事故を誘発し、戦後最悪の被害をもたらした未曾有の巨大複合災害は、バブル崩壊後の日本企業の経営が内包してきたさまざまな問題を表出させた。

 その反省から企業は自らのあり方を再考する必要に迫られる。その機運を捉えて日経ビジネスオンラインでは、震災1カ月後からコラム「復興の経営学──ここから始まる経営再創造」を連載し、日本企業が追求すべき新たな経営のあり方を模索してきた。発端となった震災の発生から1年。ここで経営再創造の道筋を改めて問う。

 2回目の今回は、「復興の経営学」にも登場していただいた加護野忠男・甲南大学特別客員教授に再び日本企業が浮上するための条件を聞く(関連記事:復興の段階では冷めたリーダーが必要になる)。

 加護野教授は、震災から1年の間に反転のきっかけをつかめなった日本企業を蝕む根深い問題点を指摘。それを踏まえて、具体的な処方箋を提示する。

(取材構成は、峯村 創一=フリーライター)

(前回の野中郁次郎・一橋大学名誉教授に聞くから読む)

 東日本大震災が起きてから1年が過ぎようとしている。

 あの震災のちょうど1カ月後、私は本サイトで「この未曾有の危機をきっかけに、日本企業の抱える問題を直視せよ」と訴えた。

 震災の痛みは甚大である。しかし、これを機に日本企業自らが抱えているさまざまな問題と向き合い、膿を出し切ることができれば、再浮上のきっかけをつかむ可能性があると感じていたのだ。

 しかし、1年を経た今、日本企業の抱える問題は一段と深刻化しており、改善の方向に向かっているとは言い難い。確かに、震災の被害から立ち直りつつあった企業に新たな打撃を与えたタイの大洪水や超円高といった外的要因も大きいだろう。しかし、業績悪化の最大の要因は、やはりその企業の内部にある。

 日本は昔から「現場力は強いが、戦略が弱い」と言われてきた。現在に業績不振にあえいでいる企業はどうかと言えば、戦略が弱いところもあれば、現場力まで弱くなったところもある。問題の所在は企業ごとに異なっている。

米国型の企業統治で失敗したソニー

 例えば、全般的に不調を極める日本のエレクトロニクス産業の中で、「戦略が失敗した」代表格はソニーである。薄型テレビ用の液晶パネルの開発に出遅れて、プラズマや有機ELに活路を見いだそうとした。しかし、プラズマは市場から撤退を余儀なくされ、有機ELは携帯電話などへの実装にとどまり、行き詰まった。

 そこで、再び液晶で戦おうと、2004年4月、韓国サムスン電子と合弁会社を設立し、大型液晶テレビ向けの液晶パネル生産に乗り出す。ところが結局、ソニーは技術やノウハウをサムスンに供与した末に、昨年12月にこの合弁を解消することを発表した。

 このような場当たり的な対応を次々に打ち出すことになった原因は、ソニーのコーポレートガバナンス(企業統治)の失敗にあったと私は見ている。出井伸之氏がCEO(最高経営責任者)在任中に米国型のガバナンスを取り入れたが、うまく機能しなかった。さらに、井深大氏や盛田昭夫氏ら創業者世代の遺伝子が後の世代に受け継がれず、技術の会社がいつの間にかマーケティングの会社になってしまった。

コメント4件コメント/レビュー

日本のよき伝統は、和洋折衷・換骨奪胎により他国の優れたところを取り入れさらに優れた独自のものを創出するところにあると思います。そういう意味で筆者のご指摘はこの伝統が企業経営に正しく生かされていないという点ではでは賛同します。問題は、最先端経営・従来の日本型経営が機能できなくなった段階で、全く独自により時代変化に対応する改革能力(基礎からの独創性)を持ち得て来なかったところにあると思われます。従って、米国型企業統治の優れたところをより工夫して’換骨奪胎’するしか現実対応はないと思われます。長期の課題は、和洋折衷・換骨奪胎からの飛躍・風土を含めた教育革新ではないでしょうか。(2012/03/06)

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いただいたコメント

日本のよき伝統は、和洋折衷・換骨奪胎により他国の優れたところを取り入れさらに優れた独自のものを創出するところにあると思います。そういう意味で筆者のご指摘はこの伝統が企業経営に正しく生かされていないという点ではでは賛同します。問題は、最先端経営・従来の日本型経営が機能できなくなった段階で、全く独自により時代変化に対応する改革能力(基礎からの独創性)を持ち得て来なかったところにあると思われます。従って、米国型企業統治の優れたところをより工夫して’換骨奪胎’するしか現実対応はないと思われます。長期の課題は、和洋折衷・換骨奪胎からの飛躍・風土を含めた教育革新ではないでしょうか。(2012/03/06)

米国流の丸真似は愚の骨頂。 先を見ないで目先の利益を最優先するため、アメリカでは大きな投資が必要な業界、発電、精油等で装置の老朽化が進んでいる。 日本は元々『今は駄目でも十年後には』といった投資を多くの会社がして来た。 米国流の浸透は外国人株主の増加も原因しているのだろう。 多くの大会社で外国人株主の割合が大きくなり、彼等の動向次第で株価が大幅に左右されてしまう。 彼等は国内投資家と比べると遥かに経営への『口出し』をする。 日本は未曾有の急激な円高により、国内の製造業が毎年の様に大幅な構造改革や部分の海外調達への切り替え等を繰り返さざるを得ない状況にいた。 韓国も以前はそうであったが破綻後貿易黒字がいくら増えてもウォン安を保持している。 まるで為替が固定相場に戻ったかの様だ。 10年程前1円が9ウォン程度だったと記憶しているが、今は16ウォン。 これでは日本に対して競争力が強いのは当たり前。 中国も経済の実力不相応の人民元安を保持し続け、高めへの調整はじわじわ、ほんの少しずつ実行している。 急激な円高で日本の産業が競争力を失った事から学んでいて、国外からのどの様な圧力も跳ね返している。 両国共に『自分勝手』な国ではあるが、どちらも『自分達は未だに発展途上』を言い訳にしているのか。 日本がこれらの国と同じ事をする訳には行かないので、独自の道を進むべきだ。 他国は研究するにしても『真似』は結局本物にはなり得ない。 独自路線を直ぐに『ガラパゴス化』といって分かりもせずに知った顔で批判する学者や評論家がいるが、無視すれば良い。(2012/03/06)

日本の企業で勤務後、現在アメリカのビジネススクールにいますが、米国流合理的な考え方は、日本で不条理に感じていたことがすっきりと解決された気にさせてくれます。一方で、日本の長期雇用による現場力の高さも戦力としては欠かせないものだと気づかされます。日本に戻った時に両者をどうやってバランスすべきか日々考えてしまいます。ただ、すべての会社が米国流を採用済みという訳ではないですし、前例踏襲が主眼になりすぎて明らかに非合理的な経営もまだまだ多く、それらは今後の競争力のためにも是正が必要に思います。(2012/03/06)

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