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太田順司・日本監査役協会会長が語る企業統治

「日本の監査役制度の実態を海外に説明することを怠ってきた」

2012年3月21日(水)

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 オリンパスや大王製紙の不祥事を受けて、制度面でもコーポレートガバナンス(企業統治)の見直し機運が高まっている。法務相の諮問機関である法制審議会は昨年12月、社外取締役の設置義務化案などを盛り込んだ「会社法制の見直しに関する中間試案」を公表するなど、再発防止に向けた規制強化の流れが強まりつつある。ただし、新たな負担を強いられる企業側からは、いたずらな規制強化に反発の声が上がり始めている。新たな制度を整える前に、現在のガバナンスの仕組みを機能させることのほうが重要との声も根強い。国内の監査役会設置会社約6000社で作る日本監査役協会の太田順司会長に、規制強化についての意見を聞いた。(聞き手は白石 武志)

―― 社外取締役の設置義務化についてのご意見をお聞かせください。

太田:昨年12月に法務省が「会社法制の見直しに関する中間試案」を公表したのを受けて、当協会では約6000社の加盟企業にアンケートして、1社1回答という形で協会内の意見を集約しました。集まった意見を基に、今年1月に中間試案に関する当協会の意見書を出しています。

 その最初の項目が、「社外取締役選任の義務化について」でした。私どもの意見を率直に申し上げれば、社外の取締役の目を持って企業のガバナンスを見ていくことは、基本的には有用であろうということです。意見書でもまず、こういう基本姿勢を表明しました。

 ただし、社外取締役の設置義務化には課題もあります。一番の問題点は、中堅・中小規模の企業にとっての負担です。中堅・中小企業の中には、内部統制をコストととらえざるを得ないケースが現実としてあります。なるべくお金をかけないで効率的にできないだろうかと考える企業が存在することも、否定できないのです。

 こうした状況を踏まえれば、社外取締役の設置を義務化し、違反した場合にはペナルティーを科すというようなことを本当にいきなりやっていいのだろうかという問題意識を持たざるを得ません。意見書には、多少時間的な猶予、経過措置を設けることなども検討されてしかるべきだろうという意見を付け加えました。

―― 社外取締役の設置そのものには、肯定的ということですか。

太田:そうですね。社外取締役にアレルギーがないとは言い切れませんが、むしろ期待も相当にあるということだと思います。アンケートで最も多かった回答は、「社外取締役の導入については前向きに考えるべきではないだろうか」という意見でした。

 現在、東京証券取引所の上場企業の98%前後が、監査役制度を採用していると言われています。残りの2%が「指名」「報酬」「監査」の3つの委員会を置く委員会設置会社です。現状では監査役会設置会社に社外取締役の設置は義務付けられていませんが、約半数の企業が、既に社外取締役を導入しています。監査役制度と社外取締役を組み合わせるのが1つの流れであるという印象です。

 ちなみに監査役会設置会社の場合、会社法では社外監査役の割合が半数以上と規定されています。これは義務です。ただし、半数以上と言いながら、実際には多くの企業が、社内の常勤監査役よりも社外監査役を多く配置して、強いガバナンスを効かせています。

 企業統治の観点から見ると、社外監査役が果たしている役割と社外取締役に期待される機能というのは、実はほとんど差がないと私は思っています。もちろん、法律的には相当違いますよ。ただ、多くの社外監査役は業務執行が適法か否かという監査に終始するのではなくて、もう少し経営判断の妥当性、相当性にまで踏み込んだ意見を伝えて、社外取締役と同様に、執行の再考を促すようなケースが数多くあると聞いています。

 また、社外取締役に比べると、社外監査役の方が監査のための会議に出席する回数は多く、当該企業のガバナンス向上のために果たしている時間ははるかに長いのです。そういう観点からも、企業のガバナンスにおいて、従来の監査役制度は極めて有効だと思います。

 つまり社外取締役の設置が必要か否かを考えていくと、会社によってその答えが違ってくるのは当たり前のことなんですね。それを一律に義務化すると言うから、異論、反論が出てくるということだろうと理解しています。

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「太田順司・日本監査役協会会長が語る企業統治」の著者

白石 武志

白石 武志(しらいし・たけし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社編集局産業部(機械グループ)、京都支社、産業部(通信グループ、経営グループ)を経て、2011年から日経ビジネス編集部。現在は通信、半導体、家電業界などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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