• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日本の重厚長大産業のように完璧を期していたら何もできない

経営管理はスペックを三割落とすことが鉄則

2012年3月23日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回から読む)

事業への熱意があれば、絶対に数字に落としたくなる

 ここまで来ると、次は「数字に落としてコミットメントを取る」ことになる。「企業内IRプロセス」は、話が定性的に終始してしまうと、後で“言った”“言わない”の水掛け論を呼んだり、或いは公式文書を作るだけの形式的なプロセスになったりする。ゆえに、定性的な議論を定量的な数字に落としておくことは不可欠だ。

 通常のIRでも同様だろう。いわゆる「財務モデリング」あるいは「ファイナンシャルプロジェクション作成」ということだ。これには二つの大きな意味がある。

 ひとつは、「論理」と「数字」という共通言語に置き換えて将来予測を眺められるということである。これによって、ビジネスモデルの異なる事業についても横比較が可能になるし、どこがどのように「左脳的な企業価値」を上げていこうとしているのかも明確になる。こうした話を「数字の遊びだ」とけなす人もいるが、数字の遊びになっている程度ではダメなのだ。ある先進企業のマネジメント曰く「本当に事業に対する熱意があれば、絶対に数字に落としたくなる」。名言である。

 もうひとつは、企業家である事業部門からのコミットメントを定量的に獲得する、ということである。これがマネジメントサイクルを回す際の基礎となる。計画策定(=P)においてコミットされた内容は、実行(=D)され、その結果をもともとのコミットメントレベルと比較して評価(=C)されなければならない。業績評価はコミットメントした事業責任者の評価(=A)にもフィードバックされるだろう。

日本の“成果主義”の最大の欠点は平社員に適用したこと

 これは、日本で悪名高い“成果主義”を入れるといった話ではない。日本の“成果主義“の最大の欠点は、意思決定の権限を持たない平社員にそれを適用したことである。権限と責任を持つトップが、コミットメントを達成したら評価され、そうでなければ責任を取るのは当たり前のことだ。

 だからと言って、徒に本社と事業部門が対立することを煽っているわけではない。こうした計画を刷り合わせていくのは、対立を生むためではなく、コミュニケーションを進めるためである。計画を作ること自体が目的なのではなく、事業の置かれた環境や必要な資源を、経営資源の提供者と事業の運用者が違った視点から眺めて、より確からしい将来を考え、ストーリーを共有することが重要だ。

 こうしたことは、意外に軽視されているような気もする。「こんなに激しく揺れ動く時代に、計画なんて作ったってすぐに陳腐化するだけだから要らない」という論もある。確かに一寸先は闇。今の世の中、常に非連続な変化に立ち向かわなければいけない。だが、だからといって皆が共有できる計画がないというのは、海図も無しで暴風雨の中を航海するようなものだ。どうせ波が荒くてそれに任せるよりないんだから、無理に方向を決めるなんてしなくていいよ、とは思わないだろう。

 環境が変化したときに、最初の予測がなければ、どうしていいのか、何が悪いのか、途方に暮れるだけだ。「これから中期的に円高である」という予測をたてているからこそ「その予測に基づけばこの事業はこうなりそうだ」とか、「実は予測が外れて円安に振れてしまったので、乖離幅はこれくらいになりそうだ」「ではこうやって修正しよう」という方向で話を進められる。

コメント0

「グローバル経営、勝負の分かれ目」のバックナンバー

一覧

「日本の重厚長大産業のように完璧を期していたら何もできない」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

韓国がダメでも、日本なら技術を見る「目」が投資家にあるはずだ。

崔 元根 ダブル・スコープ社長