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「だから御社はM&Aに失敗するんです」

統合初日に絶対やらなければいけないこと

2012年3月30日(金)

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 さて、前回に「自前」か「買収」か(若しくはアライアンスの諸形態か)といった検討はぜひ行ってほしい、と申し上げたので、買収の方についても触れてみたい。日本の企業が行うM&Aには共通の課題があるようにみえる。「七つの課題」とでもいうべきか。

1.  M&Aが手段ではなく、目的化している。
2.  意思決定において、戦略ではなく情緒の占める割合が大きい。
3.  統合比率を決めない。スピードに対して鈍感である。
4.  プロフェッショナルを上手く使えない。
5.  統合後の計画策定がお粗末である。
6.  従業員への対応が不足している。
7.  M&Aを行う土台である経営管理インフラに乏しい。

 よく、M&Aが総合芸術だといわれるのは、会社の値段はいくらか、といった財務的な話から、事業の将来予測、前者のポートフォリオ、はたまた経営管理や企業統治、更には企業理念に至るまで、あらゆる経営の側面に影響を及ぼさずにはいられないからだ。したがって、その検討にあたっては、極めて慎重でなくてはならないし、上記の全ての要素について、確実に解を出せることが必要だ。このうち最後の要素については既に前回見たので、ここでは残りの要素についてみてみよう。

 最初の課題は「手段の目的化」だ。M&A案件というのは、特に大企業グループには日常的に持ち込まれるようになってきている。そうすると、やるかやらないか、というのは、単に候補リストからチョイスするかどうか、の選択になりかねない。ディールをやりたい投資銀行などは、色々な方向からディールの実施を勧めてくる。彼らにとって、M&Aディールを仕上げる、ことは「目的」ですから当然だ。

M&Aを検討するとき考えるべき第一の質問とは何か?

 だが、事業会社とってはそうではない。単なる目的を実現するための手段である。したがって、M&Aを検討するに当たってまず考えるべき第一の質問は、改めて「その目的は何か?」だ。事業の成長のため、と言いながら、投資家への言い訳や金融プレイヤーの言いなりになっていないか、十分考える必要がある。

 あまりやったことがない事業会社ほど、M&Aをやるとなった場合にはディールの成功のみに眼が行ってしまいがちだし、M&Aを手伝うのも大半は金融プレイヤーなので、彼らと同じく、まるでディールを成功裡に完了させることが目的であるかのような取り組み方をしてしまいがちだ。

 また、成長戦略を求める投資家の圧力に何とか答えようと、中期経営計画の発表において、「今後はM&A戦略をとります。資金はXX千億円を用意しています。どこの分野で何をするかはこれから検討します」などといった発表をする企業も後を絶たない。しかし、これほど投資家を馬鹿にした説明もない。

 投資家は、そもそも「自分では事業がよく分からないから、それをよくわかっていて事業の将来像をきちんと提示してくれる代理人に資金を委託する」存在である。代理人がとりあえず資金を積み上げておくことしかできず、そのうち投資しますとしかいえないようであれば、委託した資金を返せ、というのが投資家の言い分だ。(日本の資本市場では投資家自体が未熟なため、こうした失礼な計画発表があっても株価があがったりするので困ったことなのだが)。

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「「だから御社はM&Aに失敗するんです」」の著者

松田 千恵子

松田 千恵子(まつだ・ちえこ)

首都大学東京大学院教授

1987年東京外国語大学外国語学部卒業。2001年仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院修士。日本長期信用銀行、ムーディーズジャパンを経て、コーポレイトディレクションなどでパートナーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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