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TPP、制度改革…、“平清盛”的「国富論」が日本を救う

八代尚宏・国際基督教大学客員教授インタビュー(1)

2012年4月23日(月)

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新しい経済の教科書 2012」で、新自由主義者としてケインズ批判を展開した八代尚宏・国際基督教大学客員教授。学説論争にとどまらず、現在の政府の失敗についても舌鋒鋭く批判を展開しています。デフレ脱却のためには、金融政策や規制緩和だけでなく、耕作放棄地への規制強化なども含めた抜本的な構造改革を進めよ、と主張。八代教授による新自由主義的な構造改革論について、2回に分けてお届けします。(聞き手は広野彩子)

昨年、『新自由主義の復権』(中公新書)という本を出版されました。政府の失敗に深い問題意識を持っておられます。

八代:新自由主義とは一般に誤解されているような自由放任主義ではなく、市場機能を適正に働かせるための政府の役割を重視したものです。日本では経済成長率が平均1%弱の経済停滞がもう20年も続いています。現政権は再分配政策には熱心ですが、その原資となる所得を増やすための成長戦略への関心が薄い。何のために経済を活性化する必要があるのかと言えば、何よりも雇用を増やすためです。新規雇用が増えなければ、雇用を保障されていない一番弱い人が犠牲になる。

 識者の間では金融・財政政策などが不十分なために経済が停滞しているという説が多いようです。しかし、私は、マクロ経済政策の失敗よりも、経済社会環境の大きな変化への対応の遅れが原因と考えます。特に1990年代前半には、旧社会主義圏の市場経済化や中国経済の発展などにより、世界的な市場競争が強まったにもかかわらず、過去の成功体験にこだわり、何もしなかった「政策の不作為」が大きな要因です。

平清盛は、自由貿易の発想を持つリーダーだった

八代 尚宏(やしろ・なおひろ)
国際基督教大学客員教授。国際基督教大学教養学部、東京大学経済学部卒業後、経済企画庁(現内閣府)入庁。1981年、米メリーランド大学経済学博士(Ph.D.)経済協力開発機構(OECD)主任エコノミスト、上智大学国際関係研究所教授、日本経済研究センター理事長などを経て現職。最近の著作に『新自由主義の復権』(中公新書)がある。
(写真:菅野 勝男)

 80年代までの日本は、先進国の中で、高い経済成長率、低い物価上昇率と失業率という高いパフォーマンスで優れた経済運営として持ち上げられていました。その驕りから、90年代以降の長期経済停滞の下でも、ひたすら耐えていれば、いずれ台風一過のように、古き良き時代に戻れるかのような甘い期待で改革を怠ってしまいました。しかし今、人口が減少期に入り、高齢化も急速なスピードで進んでいる中で、それに対応した政策に変えなければいけない状況に追い込まれています。

 例えばTPP(環太平洋経済連携協定)への参加について、世論を二分するかのように反対が多いという事実が、今の日本の閉塞的な状況をよく表しています。戦後の日本ほど、世界の自由貿易体制の恩恵を受けた国はなく、それをさらに進めることは、これまでの日本がずっと追求してきた政策で、最近になって突然そう変えたわけではありません。世界経済の一体化が進む中で、主要国の国内制度の共通化も必要です。交渉に応じたら米国に蹂躙されるから入らないという選択肢は、国際化の時代には通用しません。もっとも、外圧を受けるまで必要な国内制度の改革を怠ってきた日本政府にその責任の一端もあります。

ルールを時代に合わせるような施策で需要は喚起できるという考え方ですか?

八代:需要は市場の拡大を通じて喚起されます。一番簡単に市場を拡大させるのは貿易自由化です。多くの国と取引をすればお互いに輸出と輸入が増え、市場規模が拡大する。これは外国とだけでなく、保護主義の蔓延している非製造業分野でも「国内市場の中での自由貿易」への改革の余地は大きいのです。

 今、NHKで大河ドラマ「平清盛」を放映していますが、平清盛は、特定の利権と結び付いていた中国との貿易のやり方を変えて、民間の一般の庶民が中国から色々なものを輸入できたらきっと豊かになると考えた。まさに現在のTPPの議論そのものです。伝統的な国内開発主義に対して、自由貿易で国を豊かにするという思想が、平清盛の一番優れた視点でした。

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「TPP、制度改革…、“平清盛”的「国富論」が日本を救う」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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