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連載その1 日本人よりはるかにグローバルなブータンの人々

2012年4月18日(水)

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 昨年、日経ビジネス オンラインで連載していた「ブータン公務員だより」。その著者で、初代首相フェローを1年間務めた御手洗瑞子さんが、書籍『ブータン、これでいいのだ』(新潮社)を上梓した。
 近年、中国とインドに挟まれたアジアの小国人口70万人のブータンに、日本をはじめ世界中の注目が集まっている。GDP(国内総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)の国。昨年は新婚の国王夫妻が来日し、被災した東北地方を訪れることで、日本でのブータン人気はさらに加熱気味。でも、「幸福の国」のイメージだけでブータンは語れない。「ほんとうのブータン」の素顔を、ジャーナリスト清野由美さんを聴き手に、御手洗さんが語る。『ブーこれ(ブータン、これでいいのだ、の略)』と併読して御楽しみください。

清野:御手洗さんは2010年9月から2011年9月までの1年間、ブータン首相のフェローという公務員を務められました。

 国王夫妻の来日があり、「国民総幸福量(GNH)」の概念が広く報道されるようになり、日本でもブータンという国の存在は、とても身近になりました。

 でも、御手洗さんがブータンで仕事を始められた2年前は、まだブータンにそれほど注目が集まっていなかったと思います。

 それまで、ブータンに行かれたことはあったのですか?

御手洗:いえ、それがなかったんです。ブータンについては高校生のときに授業で「国民総幸福量」を国の指針としている国として習ったことがあって、そのとき以来、興味を持っていた国でした。そのブータンが首相フェローという公務員を海外から募集している、という話が舞い込みまして、「わ~、ぜひ行きたい!」と。ご縁だと思い、あっという間に決めました。

御手洗瑞子さん

清野:任期はあらかじめ1年の限定だったんですか。

御手洗:当初は10カ月ということでしたが、1年に延ばしてもらいました。最低1年、春夏秋冬の一回りは見たいな、と思ったので。

清野:「首相フェロー」というポジションの中身はどういうものだったのでしょうか。

御手洗:仕事としては、観光業の育成をしていました。

 現在のティンレー首相はブータンで初めての民主的な選挙で選ばれた首相なのですが、そのティンレー首相率いる今の政府は、国家の経済的自立を目標にしており、観光業と水力発電をその柱に据えています。

 私は、このうち観光産業で、自然や文化を守りながらブータンが観光客を増やしていけるよう、マーケティングの強化や観光局の組織改革などを担当することになりました。

注:ここで「ブータン」について、基礎知識を簡単にお伝えしておきます。
 ブータンの正式名称は「ブータン王国」。近年まで絶対王政がとられていましたが、国王自らが民主主義への移行をリードし、2008年に立憲君主制へと移行しました。ブータン語というものはなく、公用語は行政府のあるお城の“ゾン”で使われる「ゾンカ語」です。
 地理上は、インドの北、中国の南、ヒマラヤの山中に位置します。面積は約3万8000平方キロメートルで、九州と同じくらい。人口は68万人(2008年時点)で、島根県や、東京都大田区、練馬区と同じくらいの規模です。

「おっとり」どころか、「よく怒り、よく笑う」

清野:私は残念ながらブータンには行ったことがないのですが、イメージとして真っ先に来るのは、やはり「幸せの国」。ブータンの人たちって、おっとりと穏やかな人たちなんだろうなあ、という感じがあります。

御手洗:いえいえ、実はブータンの人たちは、よく笑い、よく怒る。喜怒哀楽をしっかり持った人たちです。仕事の場でも、自分の役割の仮面をかぶらずに、自分の感情をはっきり出すんですよ。その一方で、これは日本人の一般的なブータンのイメージとも合致するかもしれませんが、時間の感覚はゆったりしています。いささかゆったりしすぎている部分もあるかもしれません(笑)。

清野:民主化以降のブータンは、グローバル化する世界の動きに急激にさらされているそうですが、そこでブータンという国のローカルルールと、グローバルルールとのギャップが表面化してきている、というようなお話が、御手洗さんの著書『ブータン、これでいいのだ』の中にはあります。

御手洗:ブータンの人たち同士で仕事をしている分には、それがブータンの文化なので問題はないのですが、海外の方やその気質や習慣を知らない人たちと接するときなど、「ブータン流」コミュニケーションでそのまま押し進めると摩擦を生んでしまうこともあります。

 例えばブータン人の観光ガイドに関して、観光でいらしたお客様からクレームがきたりする。ガイドが約束の時間に1時間遅れてやってきたのに、謝るわけでもなく「おはようございまーす!」とニコニコしてたり、お客様の足が泥沼にはまってしまったのを見て、まるで仲間内のように「あれ~大丈夫ですか~」とケラケラ笑っていたりとか(笑)。

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「連載その1 日本人よりはるかにグローバルなブータンの人々」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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