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エコシステムを左右する「中核企業」アップルの振る舞い

競争戦略論を再考する【その4】

  • 峯村 創一

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2012年4月27日(金)

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 ピーター・ドラッカーやマイケル・ポーターといった経営学の大家が著した“古典”を読むだけでは、複雑さを増している現代のビジネス現象を解明し、競争を勝ち抜く戦略を見いだすことはできない。現在進行形の事象から得られた最新の知見を学び、戦略を組み立てることが必要だ。

 このコラムでは、気鋭の経営学者たちが現代経営学の最先端の世界へと誘う。まずは、ポーターらが確立してきた競争戦略論の新潮流について、4人の俊英に解説してもらう。

 今回は引き続いて、企業の強さを「エコシステム(生態系)」という視点で分析しようとする新しい考え方について、椙山泰生・京都大学経営管理大学院教授に聞く。

(取材構成は、峯村 創一=フリーライター)

前回から読む)

―― 生態系というものは人為的なコントロールが難しいものだと思いますが、エコシステムの変容を「成長」という方向に導いていくためには何が必要でしょうか。

椙山:エコシステムが健全性を保ちながら成長していくためには、その中核となる企業が果たす役割が重要です。

 どこまでを自社でやって、どこから先は他社に任せるか。あるいは、時間軸の上で将来のどの時期までは自社でやり、どの時期から周辺の企業に任せるのか。いわゆる「メイク・オア・バイ」と呼ばれる問題です。エコシステムの中心に位置する中核企業は、この「メイク」と「バイ」の切り分けを巧みに行い、自発的に自らの利益を抑制することによって、他のプレーヤーと利益を共有しています。

 前回も取り上げたアップルの例で言えば、中核企業である同社自身は、スマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone」の基幹部品の製造やアプリの開発には手を広げようとしていません。また、アプリ市場のコミッションを許容できる程度に低く抑えて います。ビジネスを社内に囲い込んでいるという批判を受けがちな同社ですら,「抑制」していることが分かります。そうした方が周辺企業が参加しやすくなり、イノベーションが次々に生まれ、自社の長期的な利益につながるからです。

 『キーストーン戦略 イノベーションを持続させるビジネス・エコシステム』(翔泳社)を著し、 「エコシステム」という概念を世に広めたマルコ・イアンシティ(米ハーバード大学経営大学院教授)らは、中核企業のこのような「抑制」が、エコシステムを健全に保つ上で有効だと主張しています。つまり、事業領域を広げ過ぎないでバランスを保つという「抑制」、中核企業であるが故に手にしている利益の分配を巡る交渉力をすべて使い切らないという「抑制」です。

 こうして、エコシステムが栄えることで自社も見返りを得ていく構造を保持することが、大切だというわけです。もし、アップルが過度に支配的・独占的に振る舞えば、短期的には大きな利益を上げることができても、そのエコシステムはイノベーションを起こす力が弱くなり、外部環境の変化にも耐えることが難しくなります。そうなれば、長期的な成長は見込めないでしょう。

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