ゲームがゲームとして成り立つのに必要なこと

●つながる要素、異分野がゲームでつながる●

井上 明人(いのうえ・あきと)氏
国際大学GLOCOM客員研究員/助教。1980年生まれ。2005年慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。2005年より同SFC研究所訪問研究員。2006年より国際大学GLOCOM研究員。2007年より助教。2010年日本デジタルゲーム学会第一回学会賞(若手奨励賞)受賞。2011年3月に節電ゲーム「#denkimeter」プロジェクトにゲームデザイナーとして携わる。主な著書に『ゲーミフィケーション』(NHK出版、2012)がある。

 「ゲーミフィケーション」が話題になっている。ゲーミフィケーションとは、ゲームが持つ要素をゲーム以外の領域に持ち込むことにより、新しい価値を生み出すことを指す。ビジネス分野ではマーケティング活動や社員のモチベーションアップなどに応用できると目されている。

 「ゲーミフィケーションはあくまで『味付け』にすぎない」。ゲームの研究者としてビデオゲームやゲーミフィケーションに詳しい、国際大学GLOCOM客員研究員の井上明人氏はこう語る。「ゲーミフィケーションが効果を上げるかどうかは、商品やサービスの質に依存する」。

 ゲームがゲームとして顧客や社員に受け入れられるのは、プレーヤーが自主的に取り組んでいるとき。井上氏は「商品やサービスにゲームの要素を取り込んだとしても、プレーしている側に強制させられている感覚があると、ゲームにはならない」と指摘する。

 一方で井上氏は、「ゲームには大いなる可能性がある」と語る。ゲーム以外の領域とゲームがつながることで、新しい価値が社会に生まれる」と展望を語る。井上氏に、ゲーミフィケーションの成功のポイントについて聞いた。

ゲームの要素をゲーム以外の領域、例えばビジネスや教育に持ち込んで、新しい価値を生み出そうとする「ゲーミフィケーション」に注目が集まっています。ゲームの研究者として、現状をどうとらえていらっしゃいますか。

 基本的には非常に喜ばしいものだと思っています。先日、NTTデータで社長を経験された浜口友一さんが日経ビジネスオンラインにゲーミフィケーションの話を寄稿されていました(記事はこちら)が、ゲームとあまり関係がなかった人たちが、ゲームについて積極的に考えてくれている。本当に時代は変わりました。

 日本はゲーム関係の人材やノウハウが豊富です。ゲーミフィケーションについては米国企業が先行している感じがありますが、日本が持っているリソースをうまく応用できれば、ゲーミフィケーション分野で、一気に日本が最強の国になる、というのは十分にあり得ることでしょう。

 バンダイナムコゲームスはゲーミフィケーションが話題になるずっと前から、「ゲームメソッド」という名称でゲームの手法を他の分野に応用する研究を進めてきました。まさにゲーミフィケーションのように、ゲームの技術や手法をほかの領域に適用するための事業です。これからゲームの専門家とゲーム以外の分野の人たちが本格的につながっていくことで、大きな広がりが生まれそうな予感がしています。

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著者プロフィール

高下 義弘

高下 義弘

ライター

1974年生まれ。大学院修了後の1998年に日経BP社に入社。「日経コンピュータ」「ITpro」の記者/編集者として、IT(情報技術)と経営の動向を取材。2011年にフリーランス編集者・ライターとして独立

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