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モノレール、ガラパゴス化した“武家の商法”

連結経営の概念なく、「親・子・孫」で負担や人員を付け替え

2012年6月26日(火)

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 上山信一氏(慶応大学総合政策学部教授)は大阪府・市の特別顧問を務める。現在、府市統合本部は「大阪都構想」の実現に向けて、府・市の主要事業の民営化、統合プランを作成中である。上山氏はかつてマッキンゼー社などで一緒に仕事をした経営コンサルタントたちの力を借りて各事業の生産性、経営形態などの評価を行っている。

 今回からは、個別の事業の分析・評価を担当した経営コンサルタントと上山氏の対談をお届けする。まずは、今年2月から大阪府・市の特別参与として、大阪府のモノレール事業と大阪市の地下街事業の経営課題を整理した有馬純則氏(RHJインターナショナル マネージング・ディレクター)に登場してもらった。(聞き手は、伊藤暢人)

今回は大阪府のモノレールの見直しについて伺います。関西圏以外の人には少しなじみが薄いのですが、どのような事業なのですか。

上山:大阪モノレールは「大阪空港」駅から「千里中央」駅や「万博記念公園」を通って「門真市」駅まで行く「環状線(環状モノレール)」と、「万博記念公園」駅で環状線と分かれて「彩都西」駅まで行く「彩都線(国際文化都市モノレール線)」があります。運営主体は「大阪高速鉄道」という会社で大阪府が65%の株式を持っています。そのほか周辺自治体や企業、電鉄会社なども出資していますが、トップは3人とも大阪府のOBもしくは出向者で、事実上、大阪府の外郭団体です。営業収入は単体ベースで91億8000万円、従業員は子会社を含め304人です。

出所:6月11日に開催された大阪府の戦略本部会議の資料

 路線は全部で28kmと、世界最長。輸送人員は年間3600万人で、日本で第4位です。

有馬:環状線は東京でいうJR「武蔵野線」のような位置付けの路線です。大阪は放射線状に鉄道路線が広がりますが、それらをつなぐ交通ネットワーク網を整備するためにつくられました。しかし、「環状」という名がついていますが、実際にはまだ環状にはなっていません。

 一方、彩都線は大阪府が開発するニュータウン、彩都の通勤線として引かれました。

 2月に特別参与になったのですが、だいたい週に1回、大阪高速鉄道を訪ねて、工場などの現地調査や幹部へのヒアリングを行いました。必要なデータの収集などを依頼し、次の週に行った時に確認するという形で調査・分析しました。

利用客増え、負債を650億円から250億円に削減

輸送人員、営業距離がそれだけあれば事業としてはかなり有望なのではないですか。

上山:いえ、環状線は本来は鉄道になっているはずのところを走っています。鉄道整備が遅れ、先に道路ができ上がってしまったので、仕方なく、モノレールを走らせることになったのです。本来、モノレールはこんなに長い距離を走るものではないのです。世界最長というのは大阪のインフラの遅れの象徴でもあり、誇って良いのかどうか…。

有馬:大阪モノレールは表定速度が時速35.4kmとあまり早くないですしね。

上山:東京で言えば「京王井の頭線」をモノレールが走っているようなもの。空港にもつながっているし利用客が多いのは当然です。

 大阪高速鉄道は事業構造も特殊ですね。

有馬:通常の私鉄の場合、鉄道を通す際にはその土地を買い、線路を敷き、駅を建て、電車を走らせます。線路や駅の建設費は数十年かけて償却し、その中で利益を出していくという構造です。

 多くの場合モノレールは鉄道とは異なる制度をとっています。モノレールは道路の上に線路を建設します。線路の建設費用は道路と一体のものとして大阪府が負担します。駅舎も府が建設します。当初の建設費などのうち大阪高速鉄道が払っている費用は、モノレールの車両費用、線路の上に流す電気系統の費用だけで、全体の3分の1未満です。

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「モノレール、ガラパゴス化した“武家の商法”」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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