確かに日本の財政赤字は巨額ですが、1500兆円近い日本の金融資産があるので国債の国内消化に問題はない、との見解をよく耳にしますが。
五十嵐:これまで、1000兆円を超える豊富な国内貯蓄を背景に、低い金利水準で安定的に国債を国内中心に消化してきたのは紛れもない事実です。しかし、家計の金融資産は高齢化の進展による貯蓄の取り崩しなどで伸び悩む一方、国と地方の長期債務残高に国庫短期証券分などを加えた一般政府総債務残高は増加の一途をたどっています。
五十嵐:ちなみに、2011年12月末の家計金融総資産は1483兆円、そこから住宅ローンなどの負債を差し引いた家計金融純資産は1127兆円です。
問題の2011年12月末の一般政府総債務は1099兆円まで増えており、いずれ逆転する日も遠くないといえます。ただ、逆転したら直ちに日本の財政がアウトになるわけではありません。企業などの金融資産もありますから、直ちに問題が生じるとは言いませんが、今後も安定的に国債を消化できるのか、どんどん危険水域に近づいているのは間違いありません。
「『国債保有の93%が国内』でも安心できない」
でも、国債保有者の93%は国内部門ですよね?そこは、ほかの国とは異なりませんか。
五十嵐:ストックベース(保有ベース)でみると、確かに国債保有の93%は国内部門です。ただ、フローベース(取引ベース)では、その3~4割が海外投資家です。
仮に、国債に対する信認が揺らいで日本国債の格付けが下がる事態になれば、海外保有者が国債を一気に売却に動く可能性があります。そうなると、国債市場が大混乱し、金利が急上昇する恐れもあります。
ちなみに、海外の機関投資家や格付け機関の関係者と話していると、「現在の日本国債の格付けは、社会保障と税の一体改革をすでに織り込んだもの」との認識です。つまり、消費税による増税の余地があると見られていることが、日本国債の価格安定や安定消化の背景にあります。
海外からのこうした視点をどうして重視しないのでしょうか。仮に消費増税の余地を長期的に否定してしまうと、その時点で市場の信認が損なわれ、財政危機が顕在化してもおかしくありません。それは、当然、実体経済にも大きく影響します。
記者の上から目線発言が非常に腹立たしい。「色々と反論をうかがってきましたが、堂々巡りの論争はなかなか収まりそうにありませんね。」とか言ってるが、記者の方は副大臣の発言に対して対して突っ込ん話を聞いているのか?(2012/07/17)