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運賃、混雑、終電の早さ…、不満解消への取り組み進まず

赤字だから天下りが必要というあきれた役所の論理

2012年7月3日(火)

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 上山信一氏(慶応大学総合政策学部教授)は大阪府・市の特別顧問を務める。現在、府市統合本部は「大阪都構想」の実現に向けて、府・市の主要事業の民営化、統合プランを作成中である。上山氏はかつてマッキンゼー社などで一緒に仕事をした経営コンサルタントたちの力を借りて各事業の生産性、経営形態などの評価を行っている。前回に引き続き、今年2月から大阪府・市の特別参与として、大阪府のモノレール事業と大阪市の地下街事業の経営課題を整理した有馬純則氏(RHJインターナショナル マネージング・ディレクター)に登場してもらった。

 大阪府が出資する「大阪高速鉄道」が運営するモノレール事業は、路線の延伸効果で毎年利益が出るようになり、負債の削減も進んでいる。しかし、改善すべき問題が数多くあった。(聞き手は伊藤暢人)

モノレールの乗車人員は2010年度で1日あたり9万9721人。2008年度の10万616人がピークでしたが、その後も高い水準が続いています。乗客は今のサービスに満足しているのでしょうか。

有馬:利用者調査をみると、不満として挙がるのは「運賃が高い」「終電が早い」「ラッシュ時の運転本数が少ない」といった点です。しかし、モノレール会社は、これらにはほとんど対応できていません。特に苦情がすごいわけでもないのですが、ダイヤの見直しなどはしていません。

出所:6月11日に開催された大阪府の戦略本部会議の資料

上山:あと延伸についても「環状線」と名前がついているぐらいで、もともとは環状の構想があったのに、実現していない。「門真市」駅以南への延伸がこの会社の今の最大のミッションだと思うのだけど、そういう切迫感はありません。

 むしろ1円でも多く、1日でも多く借金を返すことを最大の使命と考えてきたようです。そして現に一時は650億円あった借入金残高を、2012年度末には255億円にまで減らしてきた。12年間で400億円も返済したのはすばらしい。しかし、借金返済と将来投資を同時にやっていくという企業経営では当たり前の発想がない。この会社の経営は役所の発想そのものです。民間企業なのに行政改革ばかりやっていて成長戦略を考えていない。また地域の発展に貢献するという発想も足りない。

 モノレールの場合、負債を自己資本で割った比率は4.7倍に下がっている。阪急(単体ベースで6.6倍)、近鉄(同6.6倍)、南海(同5.2倍)と比べても低い。現在価値とキャッシュフローを見れば、今から借金して新事業に取り組んでも全く問題がないのにね。

有馬:延伸については下部のインフラ整備に大阪府がお金をかけられないので、自分たちだけの判断では延伸できないという理屈です。確かにこの会社の判断だけでは延伸できないのですが、大阪府にもっと働きかけても良かったでしょうね。

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「運賃、混雑、終電の早さ…、不満解消への取り組み進まず」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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