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働けるのに働かない人に、お金をあげてはいけません!

鈴木亘・学習院大学経済学部教授と生活保護問題を考える

2012年7月19日(木)

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高所得なお笑いタレントの母親が生活保護を受給していたことをきっかけに「炎上」した生活保護受給問題。弱者を支える心の余裕がなくなった世相の反映か、それとも不届き者のモラルが低下したのか。そもそも、生活保護はどんな人を想定して作られた制度なのか。また、現在の不正受給が爆発的に増加した原因は何だったのか。制度の問題点と改善策について、社会保障問題のエキスパートである鈴木亘・学習院大学教授が斬る。(聞き手は広野彩子)

高収入のはずの芸能人の親族が生活保護を受給していたということで、世間を賑わせました。しかし、どうしてこんなにも簡単に生活保護を受給できてしまうのでしょうか?

そもそも穴だらけの生活保護制度

鈴木:生活保護申請が通った後、毎年の継続手続きをする時の要件確認が甘く、穴だらけだからです。これは以前から何度も指摘されていたことです。その代わりに、自治体の福祉事務所は「入り口」の時点で、怪しい申請があっても受理しないよう、過剰とも言える厳しい審査をしてきました。しかし、これはこれで問題で、生活保護が本当に必要な人までを追い返す「水際作戦」として批判をされてきました。

鈴木亘(すずき・わたる)氏
学習院大学経済学部経済学科教授。1970年生まれ。94年上智大学経済学科卒業、日本銀行入行。2000年、大阪大学大学院博士後期課程満期退学、同大学社会経済研究所助手。大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授などを経て現職。著書に『だまされないための年金・医療・介護入門』(東洋経済新報社)など多数。
(写真:大槻 純一、以下同)

 ところがリーマンショックで「若者の職がない」ということから、緊急措置として、生活保護の申請を働く能力がある人にまで認めることを促す通達が出され、堰を切ったように若者の生活保護受給をぐっと増やす方向に行った。言わばパンドラの箱が開いてしまったのです。

 箱を開けて、救われた人々もいますが、同時に不正受給者という「お化け」も多く出てきてしまった。でもお化け対策を事前に考えていなかったのです。生活保護を受ける基準を緩和すれば、必ず不正受給への動きが出てくることは分かっていたはずだと思いますが、現実にはそういう仕組みが存在しないまま門戸を開いてしまった。

 そもそも日本の生活保護は、伝統的に「尾羽打ち枯らせて、もはや何も手立てがない、どん底になった人」を救う制度です。いわば「働く能力も意志もある元気で若い人は、生活保護の対象にするべきでない」という考えの制度設計でした。

一方で、生活保護を受給するための指南本も、たくさん出版されています。

鈴木:「ハウ・ツー・ゲット生活保護」という感じの本を、色々な方がたくさん書いておられますね。「派遣村」で知られる湯浅誠さんをはじめとする社会運動家は、「低所得者は全て生活保護で救うのが正義」、とお考えのようですから。

コメント87件コメント/レビュー

映画興行において無料入場券が大量配布されることがある。もちろんそれは貧困層へのサービスなどではない。映画館の価値の本質は観客によって作り出されており、有料入場者は自分たちが作り出した価値に対して代金を支払っている。事前の広告の失敗など、何らかの事情によりそのメカニズムが成立しそうにない場合に、有料入場者の利益を守るために、無料入場券による観客動員が行われるのである。学校においても同様のロジックが成立し得る。学校の価値の本質は学生・生徒たちによって作り出されるからである。大学紛争以前の国立大学が極めて安価であったのは貧困層への救済措置ではなかった。結果論としてそうなっていたとしても、それは本質ではなかったと私は思う。(2012/08/18)

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「働けるのに働かない人に、お金をあげてはいけません!」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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映画興行において無料入場券が大量配布されることがある。もちろんそれは貧困層へのサービスなどではない。映画館の価値の本質は観客によって作り出されており、有料入場者は自分たちが作り出した価値に対して代金を支払っている。事前の広告の失敗など、何らかの事情によりそのメカニズムが成立しそうにない場合に、有料入場者の利益を守るために、無料入場券による観客動員が行われるのである。学校においても同様のロジックが成立し得る。学校の価値の本質は学生・生徒たちによって作り出されるからである。大学紛争以前の国立大学が極めて安価であったのは貧困層への救済措置ではなかった。結果論としてそうなっていたとしても、それは本質ではなかったと私は思う。(2012/08/18)

働けるのに働かずにお金をもらう人と、実質的な労働はしていないのに年収数千万の天下りと、同じように見えるのは私だけでしょうか。どちらも、制度をうまく利用していることに違いはない気がします。そういう人って、案外多いのでは? 正直者がバカをみる社会システム。それは、長続きはしません。いつかもろとも舟は沈むのです。(2012/08/16)

「何回挑戦しても最後まで精読し通すことができない」の人へ、貧困層への学費問題は、本来才能を見せた人間への奨学金で対応し、変わりに将来の返却若しくは社会貢献で返してもらう事で成立させれば良い。だが、奨学金は踏み倒すもの、大学へは肩書きや遊びの為に行くような人が多いから今の現状がある。国は大衆の集合だからそんな人間が増えれば人口比高齢化もあってこの結果は当然の事。方向性は違うが貴方も権利を主張するばかりの同類に過ぎない。(2012/08/14)

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