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病院統合は府・市の縦割り、学閥構造への挑戦

年間200億円もの税金を投入する意義への疑問も

2012年7月24日(火)

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 現在、大阪府と市の統合本部は「大阪都構想」の実現に向けて、府・市の主要事業の 民営化、統合プランを作成中である。そこではマッキンゼー社出身の経営コンサルタントたちが各事業の生産性、経営形態な どの評価を行っている。これまではモノレール事業(第2回第3回で掲載)について考察した。

  府と市の統合を議論する中で、自然と出てくるのが両者の持つ8つの公立病院の統合だった。大阪には府立病院が5つ、市立病院が3つある。中でも、施設が老朽化し、建て替えが決まっていた市立住吉市民病院をどうするかは目前の課題だった。(1)平松邦夫前市長の時代に作られていた現地での建て替え案(2)1.8kmほど離れた距離にある府立急性期・総合医療センターに移設・機能統合する案――を検討した結果、5月の府市統合本部で統合することが決まった。

 今後は府立病院、市立病院の法人本体の経営統合や府域全体の官民の医療資源の有効活用について議論を進めていくことになる。

 前回に引き続き、府と市の特別参与として、府市病院の経営統合案をまとめた大嶽浩司・自治医科大学准教授(経営コンサルタント、医師)と統合本部の改革全般をガイドしている上山信一氏(慶応大学総合政策学部教授、大阪府・市の特別顧問)に登場していただき、公立病院事業の改革について、議論のポイントなどを語ってもらった。(聞き手は、伊藤暢人)

目前の課題として取り組んだ市立住吉市民病院と府立急性期・総合医療センターの統合は2015年度までに進める予定ですね。また、市立3病院を運営する大阪市病院局を2014年度までに「地方独立行政法人」とし、2015年度までに府立5病院を経営する独立行政法人の「大阪府立病院機構」と経営統合する予定です。
 市立病院、府立病院の統合作業を進めていく上で、両者の対立に直面することはありますか。

大阪府・市の特別参与を務める大嶽浩司・自治医科大学准教授

大嶽:職員にとっては統合したら府と市のどちらがイニシアチブをとるのかといった不安はやはりあるようです。府は、自分たちのところこそ広域でやってきた。市は府の一部だから吸収するという思いがあるし、市は市でこれまで立派な実績をあげてきており自分たちのところをベースにしたい。府と市の職員にはプライドやメンツを超えて、住民のために協働して欲しいのですが、現状はこれからといったところです。

病院というと学閥がつきものです。大阪の病院にもありますか。

上山:関西では学閥意識が強いですね。東京にも学閥はあるけれど、都内に医大が13もあるせいか、色合いは薄まります。それに比べて大阪の公立病院では大阪大学医学部と大阪市立大学医学部の影響力が非常に強い。府立病院は主に阪大系、市立病院は主に市立大系です。さらに京大や私学の近畿大、関西医大、大阪医大も加えると6つの学閥があります。

なるほど。そういう構造になっているのですか。今回、市立住吉市民病院と府立急性期・総合医療センターが統合するということは、大阪市立大学や阪大からすると、医者を送り込めるポストが減ってしまう懸念もあるのですね。
 府と市、大学同士がそれぞれの思惑を抱える中で、市立住吉市民病院と府立急性期・総合医療センターの統合プランを作ったわけですが、現場ではどんな駆け引きがありましたか。

大嶽:府立の急性期・総合医療センター側は、この機をとらえて、長年の課題を解決したいという思いがあるように感じました。

 今回の住吉市民病院との統合プランでは産科で47床増床する計画です。もともとの大阪市の単独建て替え案では35床でしたから、ずいぶん増えました。増えたのは、急性期・総合医療センターには産科を強化したいという思いがあるからです。

 急性期・総合医療センターはもともと「大阪府立病院」でした。けれど、全部で5つある府立病院の機能を分化する段階で、産科と新生児科の部分は切り離し、母子保健総合医療センターに移したのです。そういう経緯があって、「今の自分たちには産科の機能が不足している」という意識が根強いのだと思います。

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「病院統合は府・市の縦割り、学閥構造への挑戦」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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