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「ゾンビ」退治なくして経済成長なし

米カリフォルニア大学 星岳雄教授に聞く(上)

2012年8月6日(月)

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政府の過剰債務問題による不確実性と、金融政策の行き詰まりが目につく近ごろの先進国経済。日本も例外ではない。国内外の金融制度や金融政策、企業統治などを研究する星岳雄・米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授は、「日銀の消極的な金融政策の背後には、ゾンビ企業の温存が関わっている」と断言し、今の財政政策、金融監督、そして金融政策における意思決定の仕組みに問題があるのではないかと指摘する。

(聞き手は広野彩子)

星岳雄(ほし・たけお)
米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授。1983年東京大学教養学部卒、88年米マサチューセッツ工科大学から経済学博士号(Ph.D)取得。同年から現職。専門は日本の金融制度、金融政策、および企業統治の研究。代表的な著作に、アニル・カシャップ米シカゴ大学経営大学院教授との共著『日本金融システム進化論』(日本経済新聞出版社)がある。また、ヒュー・パトリック米コロンビア大学教授との共編著『Crisis and Change in the Japanese Financial System』(2000年)も日本経済の研究者の間でしばしば参照されている。(写真:陶山勉、以下同)

 星教授は最近の論文「Policy Options for Japan’s Revival」(英文)で、日本の金融政策や成長戦略について提言されています。この中で、日本の成長を妨げているものの1つに、ゾンビ企業を放置していることを挙げていらっしゃいました。ここで言うゾンビ企業とは、財務面で行き詰まって法的・私的に整理すべき企業のことですが、教授は、「日本銀行が金融緩和しないのは、ゾンビ企業が温存されることを嫌ってではないか」と指摘しています。

:その点については、別の論文でも書いている最中です。デフレ脱却のためには金融緩和がまず必要です。これは当然、日銀も分かっている。ただ、利子率を下げていき、利子率がゼロになったら、次は量的緩和をするという流れでいくと、景気を刺激するには効果的だけれども、ダメな銀行を助け、ダメな企業を助けるという結果にもなる。金利がゼロだったら、収益力に乏しい借り手であっても身の丈以上に借りてしまうインセンティブが働くからです。

 そうするとゾンビ企業を温存させてしまうという問題が起こるのです。通常の金融政策の範囲でできるだけマネタリーベースを拡張しておき、一方で金融監督の方できちんと、行き詰まった銀行は整理するなどの施策を取るべきなのですが、金融緩和も金融監督も、いずれも中途半端な状態になっている。

金融政策と金融監督は車の両輪

 金融政策は日銀、金融監督は金融庁です。この2つの主体がお互いに協調していないために、うまくいかないのではないでしょうか。例えば日銀の立場に立つと、金融庁がきちんと監督しないと、金融緩和でゾンビ企業が温存され、問題が大きくなる。だからあまり金融緩和はできない、と考えるわけです。

 一方、金融庁の方からしてみると、日銀が金融緩和しないので、厳しく不良債権処理をすると景気が悪化してしまう、だから思い切った規制ができないと考える。結果として、金融庁はゾンビ企業を温存し、日銀は金融緩和しないという悪い均衡になってしまうのです。

コメント21件コメント/レビュー

コメント欄が極端にヒステリックなのが笑える。ゾンビは自分をゾンビだと認めたがらないのだな。(2012/08/30)

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「「ゾンビ」退治なくして経済成長なし」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

コメント欄が極端にヒステリックなのが笑える。ゾンビは自分をゾンビだと認めたがらないのだな。(2012/08/30)

社会には勝者と敗者が必ず発生する。両者が存在しないと社会はなりた立たない。そこで、2者だけでなく、現状は勝者だけど将来は敗者、現状敗者だが将来は勝者、現状も将来の敗者、勝者に分類すると、ゾンビは現状も将来の敗者であると定義できる。社会は敗者を見て、そうならないように、勝者に緊張を与える薬であるが、適度の薬は良薬であるが、多すぎると社会のお荷物である。多すぎるときどうやって敗を退場させるか、軟着陸は何かを書いて欲しかった。 金利の上げ下げを通じて、行き過ぎた敗者の自然淘汰が社会に必要であり、社会は健全であると筆者は言いかったのではないか。欧米流の発言は正しくても、評価が低位であることが査証。 無能な経営者によって低利な利益であるが、世のニーズに合わせ技術開発する企業文化を壊されたソニーとGEの低迷はどこに分類されるのだろうか。企業文化を壊したら会社は漂流するため、再構築されるまで、分類のしようが無いが、その間に倒産してしまうか。ローマも壊れるまで50年掛かっているので、上記将来は長期、超長期、超々長期の区分が必要かな???(2012/08/26)

ゾンビ企業で働いている人たちはどうしたらいいのでしょうか?個人的には生活保護を受注してるダニ(ゾンビに対してきつい言葉を使いました)よりはよほど「ゾンビ企業」の従業員や社長の方が立派だと思います。また、1920年代のアメリカで、アンドリューメロン氏が「雇用を清算し、株式を清算し、農民を清算し、不動産を清算せよ。ともかく経済から腐敗を一掃しろ」と言いながら政策を行い、大恐慌を招いた事を知らないわけではないでしょう。非効率で良いというわけではありませんが、効率だけでは人は生きられません。そもそもデフレは「効率が良すぎる」から起きるわけで、著者の意見は、人(労働者)が多すぎるから「死んで清算しろ」と言っているに等しいという事ですよね。求められるのは「人が幸せに生きられる社会」で「効率的な社会」ではないと思いますよ。(2012/08/17)

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