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改革を迫り文楽協会への補助金をカット

国の保全・保護の文化行政に挑む

2012年8月8日(水)

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 大阪府・市の統合本部は「大阪都構想」の実現に向けて、府・市の主要事業の改革、民営化、統合プランを作成中である。この連載では、これまでにモノレールの改革公立病院の統合について考察した。

 今回はすでに報道で注目を集める人形浄瑠璃文楽への補助金カットの問題を考える。1963年に設立された公益財団法人の文楽協会(大阪市中央区)に対しては、長年、国、府、市が補助金を提供してきた。また国は大阪に専用劇場を作った上で公演を支援している。地元の大阪府と大阪市も毎年文楽協会に対して5200万円の補助金を助成してきた。

 これに対して橋下徹大阪市長は芸術文化団体に対して経営の自立を促進し、継続的に運営補助金を出すというやり方を見直す方針を打ち出した。そして、文楽協会への補助金を25%カットすることとともに、文楽協会に運営改革案を作って実行することを求めた。しかし、協会側は公開の場での意見交換会を拒否するなど予算執行条件を満たす気配を見せない。そこで市側は今年度の補助金の執行を停止した。

 一体何が争点なのか。今回は府と市の特別参与として、文化行政の見直しにかかわる池末浩規氏(経営コンサルタント、元マッキンゼー)に登場していただき、議論のポイントを語ってもらった。また、大阪府・市の特別顧問の上山信一氏(慶応義塾大学総合政策学部教授)にも橋下改革における今回の問題の位置づけを語ってもらった。(聞き手は、伊藤暢人)

今回はこれまでと趣が異なり、文化行政について語っていただきます。
 橋下徹大阪市長は芸術文化に関する公的助成のあり方を見直す意向を示しています。6月に市がまとめた「市政改革プラン」最終案では公益財団法人の文楽協会(大阪市中央区)や公益社団法人の大阪フィルハーモニー交響楽団(大阪市西成区)への補助金カットが盛り込まれました。
 中でも、ホットな話題となっているのが人形浄瑠璃文楽への補助金カットです。大阪市は文楽協会への補助金を昨年度より25%削減した3900万円とする予算案を計上。協会や技芸員に対して改革を求めています。また、公開の場での意見交換を求め、応じない場合は予算案の支給を凍結、全額カットする考えを示しています。
 話題に上っている文楽協会とはどのような組織なのでしょうか。

池末:文楽協会の歴史を振り返ってお話ししましょう。

 文楽は大夫、三味線、人形が一体となった芸術です。成り立ちは江戸時代初期にさかのぼります。幕末に植村文楽軒が大阪で始めた一座が最も有力で中心的な存在となり、文楽は人形浄瑠璃の代名詞となりました。

 明治時代の終わりごろからは、歌舞伎と同じように松竹が文楽の経営権を持つようになりました。ところが戦後、経営が難しくなり、松竹は1962年に文楽の運営を手放します。それを引き継ぐため、国、大阪府、大阪市、NHKなどが相談して、1963年1月に文楽協会が設立されました。

 現在、理事方では理事長のほか常任理事が2人、理事が12人います。代々、近鉄の方が理事長をしてきており、現在の山口昌紀理事長は近畿日本鉄道の会長です。事務方の幹部には府・市のOBの事務局長、制作公演課長、近鉄から派遣された次長兼総務課長がいるほか、総務課に2人、制作公演課に7人がいるという体制です。

文楽協会はどのような機能を担っているのでしょうか。

池末:設立当初は、文楽の公演全般にわたる機能を持っていました。公演のプロデュース、大夫や三味線・人形を担当する「技芸員」のマネジメント・育成、舞台技術の保持・育成などです。

府と市の特別参与として、文化行政の見直しにかかわる池末浩規氏

 やがて84年、大阪市中央区に国立文楽劇場が完成します。それを機に、東京、大阪で上演する本公演のプロデュース、舞台技術の保持・育成などの機能は、劇場を運営する国の外郭団体(現在は独立行政法人)の日本芸術文化振興会に移りました。

 その後は、文楽協会の機能は小さくなり、地方公演や特別公演のプロデュース、技芸員の報酬管理などにとどまっています。地方公演や特別公演は全体の2割程度です。それも、地方の劇場側が企画するケースが多い。

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「改革を迫り文楽協会への補助金をカット」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長