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最低の生活保護と金持ち優遇が自殺を後押しする/社会保障の論点(後編)

元大蔵官僚・武田知弘氏が考える「本当の問題」

2012年8月31日(金)

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 日本政策学校代表理事の金野索一です。

 「日本の選択:13の論点」と銘打ち、2012年の日本において国民的議論となっている13の政策テーマを抽出し、そのテーマごとに、ステレオタイプの既成常識にこだわらず、客観的なデータ・事実に基づきロジカルな持論を唱えている専門家と対談していきます。

 政策本位の議論を提起するために、1つのテーマごとに日本全体の議論が俯瞰できるよう、対談者の論以外に主要政党や主な有識者の論もマトリックス表に明示します。さらに、読者向けの政策質問シートを用意し。読者自身が持論を整理・明確化し、日本の選択を進められるものとしています。

 今回は【社会保障】をテーマに、経済ジャーナリストの武田知弘氏(元大蔵省)と対談を行いました。武田氏は、「2時間に7人、毎年3万人超が自殺する国ニッポン。この背景には、金持ち優遇政策と最低レベルの生活保護など、お寒い社会保障の実態がある。億万長者と庶民の実質税負担はほとんど変わらない。例えば年収800万円以上の社保料を一般並みに上げるだけで、年金問題はただちに解決する」と唱えます。

 この中で、そもそも社会保障とは何か?社会保障費捻出のために消費税を増税する必要はあるのか?という民主党政権に対する批判だけでなく、高額所得者等にかかる税制を20年前のものに戻すだけで税収は増えると論じ、富裕税導入の提案や保険料負担率の頭打ちをなくすなどの代替案を出しています。

 「大蔵省をやめて、俯瞰してデータを見たことにより、改めて問題意識を持った」と武田氏は語っています。元大蔵省ならではの客観的なデータに基づいた議論を出発点に、政策としての社会保障について、読者自身が日本の選択を進めて頂ければ幸いです。

(協力:筒井隆彦、渡邊健)

*  *  *

武田知弘
福岡県生まれ。大蔵省(現・財務省)に勤務。バブル経済崩壊前後の日本経済の現場をつぶさにみてきた。
大蔵省退官後、出版社勤務を経てフリーライターに。ビジネスの裏側、歴史の裏側を検証した記事、書籍を多数発表。
主な著書、『ナチスの発明』(彩図社)、『織田信長のマネー革命』(ソフトバンク新書)、『ビートルズのビジネス戦略』(祥伝社)

前編から読む

本当に生活者の痛みを知っていれば、縦割りにはならないはず

金野:自殺率の話も問題点に挙げられていましたが、個人の貧困について、社会保険の話も含めて、御見解を。

武田:自殺率も、急増しているのはリストラが増えた、95年以降で、それまでは先進国としては普通のレベルだったのです。これだけ高くなったのはリストラが増えてからなので、確実に経済問題とリンクしているはずです。それはセーフティネットがしっかりしていないからというのも1つはあると思います。

金野:セーフティネットも、最初に言われた生活保護の捕捉率(表1)にも関係しますね。この辺はベーシックインカムなど、今いろいろ新しい政策も出てきていますが、どういう制度設計がいいのでしょうか。

表1 先進国の人口に対する生活保護者の割合
イギリス フランス ドイツ 日本
9.3% 5.7% 9.7% 1.6%

生活保護問題対策全国会議の資料より
(『東京新聞』2011年11月24日付記事より)

武田:基本的に、日本の場合は年金、生活保護、雇用保険などが全然機能的な働きをしていません。どれも1個ずつで申請して、1個ずつでもらえるか、もらえないかという話になっています。だから、雇用保険が止まってしまって、それで路頭に迷ってしまったという人が出てくるようになっています。雇用保険が切れて、仕事が見つからなかった。そうしたら、その人は路頭に迷うとわかっているわけですから、それをちゃんとリンクさせて、足りない分を払うなり、生活保護に移行するなり、そういう全体の、ちゃんと救ってあげるものができていません。生活保護も敷居が高過ぎますし、いろいろなことで手続きが面倒ですし、きちんと機能していないと思います。

あなたの考えは? 詳細はこちら

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「13の論点」のバックナンバー

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「最低の生活保護と金持ち優遇が自殺を後押しする/社会保障の論点(後編)」の著者

金野 索一

金野 索一(こんの・さくいち)

財団法人日本政策学校・代表理事 / 多摩大学経営大学院・客員教授

コロンビア大学大学院国際公共政策大学院修士課程修了。平成維新の会・政策スタッフ、政策学校・一新塾、起業家養成学校アタッカーズ・ビジネススクールの経営、公益財団法人東京コミュニティ財団評議員等を経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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