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「ゾンビ農家」が日本を滅ぼす

米カリフォルニア大学 星岳雄教授に聞く(下)

2012年8月30日(木)

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星教授のインタビュー(上)から読む)

前回は、「ゾンビ企業」が日本の成長を妨げているという話を、日銀の金融政策、銀行の不良債権処理とも関連づけながらお話いただきました。今回は成長戦略全般についてです。

星岳雄(ほし・たけお)
米カルフォルニア大学サンディエゴ校教授。1983年東京大学教養学部卒、88年米マサチューセッツ工科大学から経済学博士号(Ph.D)取得。同年から現職。専門は日本の金融制度、金融政策、および企業統治の研究。代表的な著作に、アニル・カシャップ米シカゴ大学経営大学院教授との共著『日本金融システム進化論』(日本経済新聞出版社)がある。また、ヒュー・パトリック米コロンビア大学教授との共編著『Crisis and Change in the Japanese Financial System』(2000年)も日本経済の研究者の間でしばしば参照されている。(写真:陶山勉、以下同)

:日本の成長に必要なのは、規制改革と企業の新陳代謝でしょう。日本では今まで規制改革、規制緩和の議論を、20年近くしてきている。それがほとんど成果を挙げていないのが問題です。最初の規制改革は橋本政権の規制改革で、成果がありました。しかしそこから先については、各種「規制指標」を見ると全然動いてない。特に非製造業で進んでいません。

非製造業の生産性が全然向上してないということですね。非製造業と言う場合、頭に浮かぶ業界は何ですか。

:建設不動産、農業などです。建設不動産は、建築許可などの手続きが煩雑すぎるし、不動産取引の手数料が国際比較をすると高すぎます。また、日本の農業には多くの問題があります。とりわけ農地利用に関して問題があります。明治学院大学の神門善久教授が指摘しているように、まず農地の状況を全国的に精査することから始めなければならないでしょう。

 農地の使途をしっかり明らかにして、保護すべき農地を保護し、転換すべきところは転換する必要があるということです。価格が上がるのを待つために放置されているだけの農地も多いですから。

日本の農業は保護するコストが高すぎる

 また、これも神門教授が以前から指摘している点ですが、農業を保護するためにかかるコストは、その農業の付加価値と大体同じか、むしろ大きくなっている。だから日本の農業は価値を生み出してないと言える。

 もちろん個別には価値を生み出している農地もあって、やる気のある農家が生産的な農業をしているでしょう。だからこそ農地が、やる気のない人からやる気のある人に転用されることが重要なのです。今それが起こらないのは、他人に農地として売るより、他の業者が買ってくれた方が高いことから、オプション価値(将来に売るという選択肢をとっておく価値)が生じるからです。

 神門教授はこうした人たちを「偽装農家」と言っています。「ゾンビ農家」といってもよいでしょう。農業をやる気はないのに、将来の売却のために農地を持っている人たちです。

農地の規制に関しては国際基督教大学の八代尚宏客員教授も本誌のインタビュー(「TPP、制度改革…、“平清盛”的「国富論」が日本を救う)で、「耕作放棄地は歴然たる農地法違反」であるからと、農地法を厳格適用するべきだと指摘していました。

:神門教授は、今は自由にさせすぎているから崩壊しているという面を重視しています。それに加えて問題なのはゾンビ農家も含めたあらゆる農家が保護されていることです。

 日本の農業は生産性が低いので、保護を撤廃して国際競争にさらされたらたちまち崩壊してしまい、日本の食糧のほとんどを外国に頼らなければならなくなる、という議論がありますが、これは全く逆です。生産性が低いから保護が必要なのではなく、競争がないから生産性が伸びないのです。実際、国際競争にさらされた結果、崩壊どころか大きく発展することになった農産物があります。牛肉とオレンジです。

コメント16件コメント/レビュー

経済学者の言うことは当てにならない、という事を学んだ。(2012/12/05)

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「「ゾンビ農家」が日本を滅ぼす」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

経済学者の言うことは当てにならない、という事を学んだ。(2012/12/05)

『95年に11万5千戸あった農家が10年で6万5千戸です。つまり5万戸の農家、10万人の失業を産み出しました。 』ほう。いつから死亡を含む耕作放棄が失業とカウントされるようになったのですか?(2012/09/06)

> 生産性が低いから保護が必要なのではなく、競争がないから生産性が伸びないのです。電器産業とかその他の産業じゃぁどうだったかですかね?。論が浅すぎ。余りにもお粗末。(2012/09/04)

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