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大阪の地下鉄、民営化で人員1割、経費2割削減へ

汚いトイレ、高い運賃、早い終電…乗客の不満にやっと向き合う

2012年9月7日(金)

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 大阪府と市の統合本部は現在、「大阪都構想」の実現に向けて、府・市の主要事業の民営化、統合プランを作成中である。

 余語邦彦氏(ビジネス・ブレークスルー大学院大学教授、元マッキンゼー)は府と市の特別顧問として、バス・地下鉄事業の見直しにかかわる。前々回はバス、前回は地下鉄事業の課題について取り上げた。

 地下鉄事業の検討については、私鉄幹部も加わる6つのワーキンググループを作成。民営化のインパクトなどをシミュレーションした。(聞き手は、伊藤暢人)

「地下鉄民営化・成長戦略プロジェクトチーム」では「総務」「運輸」「電気」「車両」「工務」と5つのワーキンググループ(WG)を作り、私鉄幹部に加わってもらい、民間企業の経営の視点で改善方策を探ったとのことですが、それぞれのグループでは、どのような検討をしたのでしょうか。

余語:総務WGでは間接部門と調達金利、運輸WGでは乗務員の実働時間や駅務員の配置基準、休出補充率、管理単位、電気WGでは保守拠点の集約や夜間の保守体制、車両WGでは車両・機器更新周期や定期検査、工務WGでは保守体制、発注形態を中心に検討しました。

 例えば、運輸WGのワーキンググループは「運転」部門と「駅務」部門に分けて見ていったところ、運転部門ではバス事業と同じく、乗務員の平均作業時間が短いことが分かりました。1日の平均作業時間を30分延長することなどで相当な数の人員を削減できます。駅務部門では、現在、乗降客の少ない駅でも泊まりの駅員を配置し、また、すべての改札口にまんべんなく駅員を配置しているが、個別駅の状況に応じて必要ポストを算定しなおし、遠隔システムなどを活用して省人化を図る事で100人以上の人員削減ができます。一方で、車いす介助要員については、サービスマネージャーを増強しこれを担当させれば良いということを確認しました。

 車両WGは、現在、民間より短い40年で更新している車両を、民間と同じ60年にすることなどを提案しました。

 こうして各WGがはじき出した改善効果を合計すると、民営化することにより、人員718人と現在の13%、経費63億円と現在の19%、投資35億円と現在の15%を削減できるという結果になりました。

 WGが浮き彫りにしたのは合理化面の課題だけではありません。「真の鉄道事業体」に変革するための問題点も数多く指摘しました。

どのような問題が明らかになりましたか。

余語:すべての問題の根底にあるのは、鉄道事業を運営する部門というか組織体として、自立した意思決定ができていないという点です。今はあくまで市役所の一部門でしかない。そのため役所の一般ルールに縛られる。このため、様々な支障が出ています。

府と市の特別顧問として地下鉄事業の見直しにかかわる余語邦彦氏

 例えば、人事制度でいうと、全庁一律で新規採用をストップすることになった。そのため、非常にいびつな年齢構成になっています。このままでは職場の活力は減退するばかりです。

職員の高齢化が進んでしまっているのですね。

余語:高齢化による年齢構成のゆがみは日本の組織ならどこにも当てはまることです。ただ、大阪市の地下鉄事業の場合は特にひどい。助役クラスの管理職が駅の窓口業務を行っているぐらいです。さらに、2017年からの10年で全体の43.8%、次の10年で43.4%の職員が定年退職します。民間の鉄道会社の方たちは「このままでは深刻な人材不足と技術継承の断絶を招き、鉄道運営に支障を来す」と指摘しています。

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「大阪の地下鉄、民営化で人員1割、経費2割削減へ」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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