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葬儀を明朗会計にしたら、「激安価格」になった

葬儀会館チェーン、ティアの冨安徳久社長に聞く

2012年9月5日(水)

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 自分の親族の葬儀を取り仕切ったことがあるだろうか。そして、自分の「その時」に備えている人がいったいどれだけいるだろうか。

 誰もが必ずお世話になる「お葬式」。でも、そこには常に「死」の香りが漂うが故に、どこか敬遠されてきた業界だ。

 「こんにちは、遠いところわざわざどうも」

 出迎えてくれたティアの冨安徳久社長を見て仰天した。52歳とは思えない若さなのだ。それに、ものすごいエネルギー。内から溢れんばかりの、そう、突き上げるような熱さが体中からにじみ出ている。

冨安 徳久(とみやす・のりひさ)氏
1960年7月5日生まれ、52歳。79年大学の入学式直前、葬儀のアルバイトに感動し、18歳でこの世界に入る。97年ティアを設立し、1号会館「ティア中川」を開業。2006年名証セントレックスに上場、中部圏初の葬祭上場企業となる(2008年名証2部へ市場変更)。著書に『日本でいちばん「ありがとう」と言われる葬儀社』(あさ出版刊)、『ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)』(講談社)など。

 亡くなった方をお送りする「葬儀ビジネス」。もしかしたら私の中にその仕事への凝り固まったイメージがあったのかもしれない。拍子抜けするほど躍動感あふれた若手実業家、冨安氏がそこにいた。

 「私にとって、この仕事は天命と言えます」。真っすぐな瞳で言い切る。年商は78億2600万円(2011年9月期)。中部と関西を中心に、葬儀会館を50店以上展開する。

 「私はこの仕事を通して、命が限られた時間であることを思い知らされるんです。多くの悲しみを見てきたが故に、今日生きていられること、今日目が覚めたこと、今日地に足をつけていられる幸せを実感する。命の尊さと同時に命のはかなさ、人間にとって一番大事なことが何かを、この仕事が教えてくれた気がするんです。1日の24時間を一時たりとも無駄には過ごせません」

 この人はどれだけの命をこの世から送り出したのか。この仕事に携わる中で、どれだけ多くの悲しみや矛盾を見てきたのか。きっとその過程で、確固たる自分の信念、世界観をこつこつ積み上げてきたのだろう。

ドライアイスが5300円、花代が3万円…

 学生時代、破格のアルバイト代につられて体験した葬儀の仕事。驚きの連続の中、ある遺族が先輩に「本当にありがとう」と何度も頭を下げている様子を見た。こんなにも人から感謝される仕事があるだろうかと感銘を受け、この業界に身を置いた。

 しかし、人の死のむごい場面に出くわすこともあった。さらに、異業種交流会で渡した葬儀社の名刺を「縁起でもない」と目の前で破られたり、恋人の親から「葬儀の仕事なんてやめろ」と言い放たれたりしたこともある。

 悔しかった。世界にたった1人の「その人」の人生最後となる儀式を自分たちが執り行う素晴らしい仕事なのに――。「だからこそ、このビジネスの社会的な地位を確立したかった」と話す。

 「使命感と言うのでしょうか。この業界を変えなければならないと思っているんです」

 冨安社長が業界の常識を覆したのは15年前。ブラックボックス化していた葬儀の値段を白日の下にさらしたのだ。

 ドライアイスが5300円、お花代が3万円…。祭壇は何種類も取り揃え、すべてに価格を表示している。

 「明瞭会計」。その結果の「激安価格」だ。

「だってね、どこのデパートに行ったって値段が書いていない商品なんてないでしょう? この業界だけ値札がある商品が1つもないんですから」

 確かにそうだ。消費者の中には、身内が生きている間に葬儀や値段を考えるなんて不謹慎だという思いがある。そこに業界側もつけ込んで、価格をブラックボックス化し、「言い値」で執り行ってきた。親族が亡くなって、悲しみに打ちひしがれている時に葬儀社が来て、「早く決めてください」ということになれば、遺族は葬儀社の言いなりになるしかないだろう。業界の悪いイメージはそんなところからも広がっていった。

「だから私はそれを払拭し明確にしたかった。ガラス張りにしたかったんです」

 明朗会計にした結果、ティアのトータルの葬儀代は業界平均の半額近くと、激安価格になっていた。

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「葬儀を明朗会計にしたら、「激安価格」になった」の著者

佐々木 明子

佐々木 明子(ささき・あきこ)

テレビ東京アナウンサー

1992年テレビ東京入社。スポーツキャスターを経て、報道へ。2007年アナウンサーとして初めてニューヨークに赴任。激動の世界経済を伝え、現在は経済ニュース番組「MプラスEx」や報道特番などを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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