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過去を変えられる、それが人間の能力です

「田園に死す」(1974年 寺山修司監督)

2012年10月2日(火)

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前回は「ここぞという場面では、責任回避するんじゃなく、ある程度リスクを取ってでも決断しなくてはならない」というお話でしたが、私を含めて日本人って、御上に何でも決めて欲しいと思ってるし、政治の方もリスクや責任を取りたがらないから何も決まらないし、そういう意味ではダメダメです。

押井:原発も、オスプレイも、国に対して「安全を保証しろ」と言うだけで、何も引き受けようとしてない。「そんなに安全安全言うんだったら、生きるのやめれば」って思いますよ(笑)。安全をすべてに優先していたら、食べたいものも食べず、やりたいこともやらず、になってしまう。それで本当に生きてて楽しいの? 仮に原発の問題が解決したって、次の恐怖が来るだけの話だよ。オスプレイが飛ばなくたって、普通の旅客機が落ちなくなるわけでもない。

いや、そこまで極端な話じゃなくて、たいていの人は、安全とリスクのバランスを上手に取りたい、ってことなんだと思いますが。

(写真:大槻 純一、以下同)

押井:そうかなあ。パチンコだろうが丁半バクチだろうが、勝負事において「リスクを避けることで勝つ」という道はあり得ないんです。リスクを避けたいんだったらバクチをやめるしかない。統計を信じるぐらいだったら、そもそもバクチは成立しないんです。だって統計的に言ったら胴元が勝つに決まってる。当たり前の話です。リスクを完全に避けたいんだったら、何も決断できるわけがない。バランスっていったけれど、そのバランスが極端に偏ってきている、って思いますね。

「安全であってほしい」という願望が肥大している感じですか。

押井:でもね、そういう小さなリスクを気にし過ぎる一方で、みんな「自分だけは成功するはずだ」っていう思い込みも持ってるんですよ。だから「絶対当たらないに決まってる」と言いながら宝くじを買うんだし。僕もサマージャンボと年末ジャンボ、毎年20枚ずつ買ってるんだけど、当たるという自信がいつもあるんですよ。当たったことは1回もないけど。

ちなみに押井さんは宝くじが当たったらどうするんですか?

押井:使い道はいろいろ考えてる。奥さんにはとりあえず言わない。

言わなくてもバレると思いますけど(笑)。

未来は幻想、だからどうだっていい

押井:戦場の兵隊だって、「自分だけは生き残る」とどこかで思ってるわけです。「どうせ明日は死ぬんだ」と思いながらも、「もしかしたら自分だけは生きて帰れるかな」と。

戦争に行ったことはないですが、きっとそう思い込むんでしょうね。

押井:それは否定すべきことじゃないんだ。どんなに確率が低くても、都合のいい結果だけを期待できる、だからこそ人間なんだよ。

 それゆえに宝くじも成立するし、ある意味で言えば戦争だってできる。行けば確実に死ぬとわかってたら誰も兵隊に行かないけど、もしかしたら帰ってこれるかもしれないと思うから兵隊に行くわけです。

コメント2件コメント/レビュー

私の世代の青春映画なら25年目の「私をスキーの連れてって」が好きです。ディズニー実写映画(うっかり博士の大発明等)を完璧なくらいコピーしてますから。それと、過去が大事というは同感です。「過去の失敗の泥の中に、未来を開く鍵がある」です。不幸なことに、そういった映画は洋画邦画を問わず知りませんが、他人の回顧録チャーチル、ドゴール、吉田茂「回想十年」、岸信介証言録は読んでて楽しいです。若干の捏造を割り引いても、「明るく振舞って」過酷な現実に立ち向かうポジティブな個人を味わえるからです。(2012/10/02)

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「過去を変えられる、それが人間の能力です」の著者

押井 守

押井 守(おしい・まもる)

映画監督

1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2」で映像作家として注目を集める。アニメの他に実写作品や小説も数多く手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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私の世代の青春映画なら25年目の「私をスキーの連れてって」が好きです。ディズニー実写映画(うっかり博士の大発明等)を完璧なくらいコピーしてますから。それと、過去が大事というは同感です。「過去の失敗の泥の中に、未来を開く鍵がある」です。不幸なことに、そういった映画は洋画邦画を問わず知りませんが、他人の回顧録チャーチル、ドゴール、吉田茂「回想十年」、岸信介証言録は読んでて楽しいです。若干の捏造を割り引いても、「明るく振舞って」過酷な現実に立ち向かうポジティブな個人を味わえるからです。(2012/10/02)

>国に対して「安全を保証しろ」と言うだけで、何も引き受けようとしてない。同意。損か得かという動物レベルというか女々しい判断基準を毎日親に刷り込まれれば、何も引きうけないというのは、考えることなく選択できる正しい答え。(2012/10/02)

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