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「格差是正」という言葉に潜んでいる不平等が分からない人たち

弁護士の伊藤真氏に聞く「日本の選挙制度」

2012年10月5日(金)

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 日本政策学校代表理事の金野索一です。

 「日本の選択:13の論点」と銘打ち、2012年の日本において国民的議論となっている13の政策テーマを抽出し、そのテーマごとに、ステレオタイプの既成常識に拘らず、客観的なデータ・事実に基づきロジカルな持論を唱えている専門家と対談していきます。

 政策本位の議論を提起するために、1つのテーマごとに日本全体の議論が俯瞰できるよう、対談者の論以外に主要政党や主な有識者の論もマトリックス表に明示します。さらに、読者向けの政策質問シートを用意し。読者自身が持論を整理・明確化し、日本の選択を進められるものとしています。

 今回は【選挙制度】をテーマに弁護士の伊藤真氏(伊藤塾塾長)と対談を行いました。伊藤氏は、1票の不平等の問題をスタート地点の置き方によって解決の方向性が違うと語り、「1票の格差」という票数に差があることを前提にした議論を否定しており、人は皆同じという立場で「1人1票」の絶対平等を唱えています。

 対談の中で、国会議員の定数削減についても「国民に向けてアピールしているようで、実際は、自分たちが仕事をやっていないぞということを自白してしまっているようなものです。」と指摘し、定数削減は立法権を縮小することになり、行政監視という国会の重要な役割を果たす力が縮小されてしまうと警鐘を鳴らしています。

 「いろいろな価値観の人がいて、そのせめぎ合いの中で、世界の趨勢は民主主義という制度にしていくべきだという方向で来ている」と伊藤氏は語っています。選挙制度は民主主義が成り立つための仕組みであり、民主主義に対する理解の違いにより、制度の在り方に相違が生まれます。来たる衆院選に備え、読者自身が選挙制度、ひいては民主主義を見つめなおす機会となれば幸いです。

(協力:渡邊健、宇田幸生)

*  *  *

伊藤真
「伊藤塾」塾長/「法学館法律事務所」所長/「1人1票実現国民会議」発起人
東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、司法研修所入所。
1982年、司法研修修了と同時に弁護士登録。
その後、真の法律家の育成を目指し、司法試験の受験指導にあたる。
2009年より「1人1票実現国民会議」の発起人となり、多くの弁護士、著名人と共に、日本に真の立憲民主主義を実現すべく活動している。

「1票の格差」という表現は誤り。「1人1票」の絶対平等

金野:まずは、1票の格差についてお話を伺いますが、私は、そもそも1票の格差の存在については、これを是正することに誰もが異論がないのではと考えていましたが、実は、格差を容認する考え方もあるそうですね。伊藤さんはどのようにお考えですか。

伊藤:容認するという考えが出てきてしまう1つの大きな理由に、「1票の格差」という問題提起の仕方、日本語での言い方に問題があると思います。

 私たちは「1票の格差」という言い方をしません。「1人1票」、「1票の平等の実現」、「1人1票の実現」という言い方をします。格差というのは、差があることを前提にした議論です。その格差が、例えば、今までの議論であれば、3倍の格差がある、それが2倍の格差まで縮まればいいのではないかということで、『格差』という言葉を使えば、その差が小さくなればそれは成功である、要するに、前へ進んだと考えるわけです。

平等というものをどう考える

 つまり平等というものをどう考えるかというところにかかわる問題でもありますし、憲法の基本原則である「個人の尊重・尊厳」をどうとらえるのか。という違いからくるのだろうと思います。憲法は13条で、「すべて国民は、個人として尊重される」と規定しています。個人の尊重、または個人の尊厳という言葉の意味合いは、人は人間である以上、だれもが皆同じ価値を持っている。ただ、そうはいっても、誰1人として同じ人間はいないのだから、人は皆違う。すなわち、『人は皆同じ、人は皆違う』という、この2つが個人の尊重の本質になるわけです。

 私たちはもちろん、人間の存在価値は同じであり、そこから生まれてきたものが、この選挙権という権利、人権だと考えています。「人格的価値の平等」と憲法の教科書では表されるのですが、人は誰もが皆同じ価値を持っている。1人ひとりが持っている政治的意見の価値も絶対平等だという考えをベースにしています。

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「「格差是正」という言葉に潜んでいる不平等が分からない人たち」の著者

金野 索一

金野 索一(こんの・さくいち)

財団法人日本政策学校・代表理事 / 多摩大学経営大学院・客員教授

コロンビア大学大学院国際公共政策大学院修士課程修了。平成維新の会・政策スタッフ、政策学校・一新塾、起業家養成学校アタッカーズ・ビジネススクールの経営、公益財団法人東京コミュニティ財団評議員等を経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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