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超インフレ・円暴落で日本は沈没する

伝説のディーラー・藤巻健史氏に聞く

  • 市村 孝二巳

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2012年10月3日(水)

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円高が日本をダメにする。自称・伝説のディーラー、藤巻健史氏は長年そう言い続けてきた。しかしその意に反して一向に円高は終わらず、日本に何が起きたのか。円高が日本経済に何をもたらしたのか。藤巻氏が日本の病根をえぐり取る。

藤巻:景気対策としては財政政策、金融政策、為替政策があるが、金融政策と財政政策が限界に達しているにもかかわらず、それらが効かなかったのは為替政策が間違っていたからだ。為替を経済実態に合わせろ、というのが昔からの私の主張だ。

すべての元凶は円高にある

 いま日本に存在するすべての問題の元凶は円高だと思っている。経済だけでなくて、自殺が多いのも仕事がないということに起因しているし、男性が草食化する原因も円高にあると思っている。商社マンが海外に行きたがらないとか、学生が留学したがらないとか、「国際」と名のつく学部に全く人が集まらないとか、そういう話も、哲学者や心理学者は日本人の性格が変わったとか言うが、そんなのはとんでもない。為替が円安になればコロッと変わる。

藤巻健史・フジマキ・ジャパン社長(元モルガン銀行東京支店長)

 例えば、米国企業で5万ドルの年収をもらえるとする。今は1ドル=80円だから400万円にしかならないから、そのために海外に行って苦労する気にはならない。しかし極端な話だが、1ドル=1000円なら5000万円だ。これなら海外で1年働いて、日本に帰ってきてもいい。そうすれば留学したくなるだろうし、勉強もしたくなるだろう。商社マンもみんなドルベースで給料をもらいたいと言うに決まっている。性格まで含めてコロッと変わると思う。

 いま日本を覆っている閉塞感の原因は何か。失業問題も、若者が就職できないのも、円が強いからだ。外国人の労働力が安く買えるから、みんな工場は海外に行ってしまうから仕事がなくなる。就職が心配になると、自殺者も増えるだろうし、工場用地などは値が下がってしまうし、工場の周りの商店だって廃業せざるを得ず、地方の商店街はシャッター通りになってしまう。企業は儲からなくなって株価はどんどん下がる。そうすると年金も心配になり、年金の未納率が上がってしまう。

 バブルの時に年金を誰も心配していなかったのは運用利回りが高かったからだ。しかし日本企業は円高のせいで、米欧企業や韓国企業に比べて10分の1、100分の1しか利益がない。これが単にグローバルスタンダード並みに戻れば収益は10倍になる。それだけで、株価も上がって年金も大丈夫になる。利益が10倍になればいま8兆円程度の法人税収が80兆円になり、財政赤字問題も解決してしまう。

 円安になれば問題はほとんど全部解決してしまう。為替が実体経済よりも強すぎたことが大問題だったのだ。円を実体経済に見合った水準に戻すというのが僕の戦術論だった。

 なぜ、これほどの円高になってしまったのか。

円高は日本が「社会主義国家」だから

 ひとことで言えば、それは日本が社会主義国家だからだ。戦略としては、社会主義国家を資本主義に直せ、というのが最大の主張。資本主義国家になれば、円がこんなに強いわけはない。国債バブルも起こっていたわけはない。円高になる仕組みがそこにあったのだ。

日本のどのようなところが社会主義国家なのか。

藤巻:例えばゆうちょ銀行という、世界最大の銀行が個人金融資産の17%を持ち、国営であることを社会主義と言わずしてなんと言おうか。日本はほとんど格差がないのに、格差の是正が国の仕事なのか。ものすごく貧乏な人と、ものすごく豊かな人がいた場合、貧乏な人たちを最低限の生活ができるようにするのは確かに国家の仕事だ。しかし、3年に1回海外旅行できる人と、1年に3回海外旅行をできる人の格差をなくすのは国の仕事ではない。それを埋めようとするのは社会主義国家の最たるものだ。

 ジニ係数で見ればそうなのかもしれないが、実感は全くない。私の認識では日本は格差が全くない国だ。外国人の認識も全く同じだと思う。ジニ係数が日本を加速度的に悪くしたと思う。

 社長と新入社員の給料を比べてもそうだし、私は世界の大金持ちを知っているが、日本にはそれほどの金持ちはいない。社長と新入社員の格差は全然ないのだが、社長は社会保険料や所得税をたんまり取られる。2000万円ぐらいの所得に最高税率をかけて400万円の人に渡すのは必要なのか。それぐらい差があってしかるべきではないか。

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