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「公と私」、尖閣問題に見える日本と中国の大いなる誤解

梶谷懐・神戸大学経済学部准教授に聞く【後編】

2012年11月5日(月)

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「壁と卵」の現代中国論: リスク社会化する超大国とどう向き合うか』(人文書院)

梶谷 懐(かじたに・かい)
神戸大学大学院経済学研究科准教授。1970年4月生まれ。1996年神戸大学大学院経済学研究科修士課程修了。96~98年中国人民大学に留学(財政金融学院)。2010年より現職。現代中国における「市場経済化」と経済改革の動向(特に財政・金融部門)、経済発展における制度・慣習の役割(特に地方政府の行動と役割について)、中国の不動産市場をめぐる問題について関心を持つ。高校時代からの村上春樹ファンでもある。

(前編から読む ※後編冒頭部は前編のラストと重複しています。ご了承ください)

Y:中国の指導者がどういうロジックで動いているのか、なんとか、自分の小さい思考の枠の中にはいるようにお話をたたみ込みたいので、まず私の理解からお聞きいただけますか。

 大前提として中国の指導者層には「成長を続けていかないと、国民に対して分配する利益、“餌”が投げられなくなって、コントロールが利かなくなってしまう」という、強い恐怖感があるんじゃないか。

梶谷:はい。それはそうだと思います。

Y:その前提で考えたときに、成長に高い優先順位を与えるならば、外国からの投資を招き寄せるためにも、暴動なんて基本的には起こさない方がいいに決まっているじゃないですか。

梶谷:うん、そうですね。

Y:それでも暴動を一部容認したということは、どう理解すればいいんでしょう。「やはり日本人や、日本が嫌いなのか」と。

梶谷:この辺は、ちょうど今考えていることがあるんです。1つは、中国社会における民衆の暴力をどうとらえるか、という問題ですね。これは非常に大きな問題なんです。

 日本社会に比べて、中国社会は統治において「道義的な正当性」が非常に重視されるんですね。一種の道義的な理念というか、「正義」があるかどうか、それが「道理」にかなっているのか、というような。

 そこで何が出てくるかというと、民衆が政治に不満を持って非常に苦しい状態で立ち上がることを「正義にかなったことだ」というふうにとらえる傾向があるんです。

自国の教科書批判を行った袁偉時教授

Y:暴力も含めて?

梶谷:問題は、その際にそれで暴力を振るうことも含めて「正しい」とするかどうかです。理念的には正しい、大義のもとに民衆が立ち上がった。それで暴力を振るうことはどうなのか。「目的が正しいから、理念が正しいから、それはまあ、しょうがないんだ」と考えるのか、「目的が正しくても、破壊行為をして法に触れるということはまた別だよ」と考え、それは罰しないといけないよと考えるか。これが、非常に大きな問題だった。

 中国でその対立が最初に出てきたのが、1919年のいわゆる「五四運動」ですね。

Y:「対華21ケ条要求」「日華軍事防敵協定」への反発が生んだ、中国共産党誕生のきっかけともされる大衆運動、でしたっけ。

梶谷:五四運動の際にも、最初に主体になったのは北京大学などの学生でした。最初は非暴力的なデモをやっていたんですけど、その中で体制派の役人らに暴力を振るってしまうんですね。その学生を処罰すべきかどうかということで、北京大学の教授の中でものすごい論争が起こったんです。

 それがなぜ重要かというと、同じようなことが例えば文革(文化大革命)でも起こってくるからです。これは、共産党が政権を取る中で、公式見解として民衆の暴力行使を「正義」にかなったものとして肯定していく中で生じた現象でした。

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「「公と私」、尖閣問題に見える日本と中国の大いなる誤解」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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