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コンペ3年無敗、秘密は思考の「量」

電通CDC 岸勇希氏 第4回

2012年11月16日(金)

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前3回まで、岸勇希さんが展開される「コミュニケーション・デザイン」の手法をうかがってきました。そんな岸さんには、失敗例も聞いてみたいのですが。

:こんな言い方をするのは、謙虚じゃなく聞こえると思いますが、キャンペーンに限定すれば致命的な失敗は、ほぼないと思っています。競合プレゼンでは、少なくともここ3年は無敗です。最近正直、負け方が分からないんです。

さらっと明るく強気に。

岸 勇希(きし・ゆうき):電通CDCクリエーティブ・ディレクター/次世代コミュニケーション開発部専任部長。東京大学講師(2011-2012)。
1977年、名古屋市生まれ。東海大学海洋学部水産学科卒業。早稲田大学大学院国際情報通信研究科修了。2004年、電通に入社。中部支社雑誌部、メディア・マーケティング局を経て、06年10月より東京本社インタラクティブ・コミュニケーション局クリエーティブ室へ。08年より現職。
広告の企画・制作に限らず、企業の商品開発や事業デザイン、空間・施設プロデュース、アーティストのプロモーションや作詞、テレビ番組の企画・制作など、幅広くクリエーティブ業務に携わる。最新の仕事に、トヨタ自動車「AQUA」キャンペーン。商業施設「東急プラザ表参道原宿」のプロデュース、「すみだ水族館」の展示演出、フジテレビ「にっぽんのミンイ」企画、演出などがある。カンヌ国際広告祭金賞をはじめ、グッドデザイン賞他、国内外の賞を多数受賞。著書に『コミュニケーションをデザインするための本』(電通選書)。(写真:中村 治、以下同)

:負け方が分からないなんて言うと、自信過剰のアホだと思われますね…。きちんと補足させて下さい。正確には、「負けない構造を徹底的に作り込んでいる」という意味です。

「負けない構造」とは?

:キャンペーン全体での失敗は本当にないと思っていますが、細部ではたくさん小さな失敗をしているんです。ただ、そもそも挑戦的な施策は、それに伴う細部の失敗が起こる前提で、当初から全体を設計しているわけです。これを僕は「転ばぬ先の360度、杖!」と言っています。

どういうことですか?

:どちらに転んでも、とりあえず杖がある状態です。万が一、一つの杖が折れても、隣の杖が使える状態の想定。僕のチームで何かを企画する時は、失敗も予測しつつ、それが補われる構造を必ず作って、トータルで失敗しないように相互補助網を作るよう工夫をしているんです。その結果、キャンペーン全体では、決して失敗しないようになっています。

前回うかがった「生命論」がここでも息づいているような感じですね。(こちら

:なるほど! 素敵なこと言ってくださいますね。でも、そうですね。生命体のバックアップ構造を、仕事にも持ち込んでいるとも言えますね。海洋学を専攻した自分にとっては、うれしいですね(笑)。

相互補助網的な展開は、コミュニケーション・デザインという概念の大きな特徴ですね。

:負けにくい構造にこだわるのは、プロだからです。僕の仕事のポリシーはたった一つ。「いただいたお金と期待は、それ以上にしてお返しすること」。それだけです。ですから、自分的な失敗や負けはともかく、少なくとも期待いただいたクライアントにご迷惑をかけるような失敗は絶対に避けたいと意地になってやっています。

結果至上主義が導く「負けない構造」

クリエイターは仕事の拠りどころをエゴイズムに置く人も多いと思いますが。

:以前よりは減ったように思いますけどね。ちなみに、僕自身は表現に対するエゴというものがないんです。誤解がないようにしておきますが、それは、表現がどうでもいいということではありません。表現のクォリティはとても重要で、優れた表現こそが世の中を動かすと、強く信じています。

 ただ、それ以上に、僕は結果至上主義なんです。課題を解決すること、頂いたお金よりも1円でも多くの結果をクライアントや社会に返すこと。この執着心とプライドが、時に「表現エゴ」への固執を上回るというだけのことなんです。

「岸さんの好きなように広告を作ってください」というオファーが来たらどうしますか。

:最も苦手なパターンです(笑)。そういう意味で、広告の仕事に限定すれば、自分が作りたいモノなんて、僕はそもそもないんです。自分が作った広告を「作品」と呼ぶこともありません。クライアントにご指名いただいて、「岸さん、好きなようにどうぞ」って言われると、「いや、勘弁して下さい」って、死にそうになります。もちろんお任せ頂けることはとても光栄なことなんですけど、僕は、課題があって機能するタイプ。難題を聞いて初めて、「あ、だったらですね…」と、脳が走りだすんです。

高い勝率の秘訣は何なのでしょうか。

:それは簡単です。考えている量が違い過ぎます。僕のチームの鉄則は「思考力より思考量」です。

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「コンペ3年無敗、秘密は思考の「量」」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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