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アイデアが出るファミレス、出ないファミレス

細田守監督(「おおかみこどもの雨と雪」) 第2回

2012年11月13日(火)

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細田:澤本さんの発想法を、みんなすごく知りたいと思うんですが。

澤本:いや、発想法なんてそんなすごいものはなくて、だいたいぽーっと考えているときに、出てくるんで・・・。

細田:というと?

澤本:もともと僕には妄想癖がありまして、たとえば地下鉄でロシア人を見かけたとします。いや、見ただけだとロシア人って分からないんですが、金髪だから、多分ロシア人だろう、と(笑)。

 それで、その人がちょっとおどおどした様子だと、「あいつはロシアから来たスパイで、これから外務省に行くところなんだけど、字が読めないから間違った方向の地下鉄に乗っている。霞が関からどんどん遠ざかっている…」というようにストーリーを作り始めて。

細田:妄想でいろいろ楽しんでいるんですね。

澤本:一種、変態ですよね(笑)。で、そんな中に、今、与えられてる課題を解く、という行為も含めちゃってる感じなので。「このロシア人は携帯をかけたいけど電波がつながらずに困っている……」とか考えて、携帯の課題に強引に結び付けるとか。秘訣、とか、方法、って本当にないんですよね。つまらない答えなんですが。

 広告を作ることって、クイズを解くこととすごく似ているところがありまして。

広告って、クイズとパズル

澤本:たとえば今、僕の手許に「凍頂烏龍茶」というペットボトル入りの新製品がありますが、これを広告するときは、「凍頂」という名前が付いたお茶であることを第一に伝えねばならないし、それが「おいしいこと」や「健康によいこと」など、いろいろな特性をも同時に分かりやすく伝えなければならない。

 それらの商品特性が課題であり、同時にヒントで、それらのヒントから「見ている人はどうやってこの商品を訴えれば興味を持って聞いてくれるか、それにクライアントも同意してくれるか」という答えを求めていくわけです。そういうクイズを永遠に解きまくっている感じがあります。

細田 守(ほそだ・まもる)
アニメーション映画監督
1967年、富山県生まれ。金沢美術工芸大学卒業。91年東映動画(現・東映アニメーション)に入社。アニメーターとして活躍後、演出家に転向。その後フリーとなり、劇場アニメ「時をかける少女」(2006年・角川ヘラルド映画)を監督し、小規模上映ながらロングラン・ヒットとなり国内外の数多くの賞を受賞。続く「サマーウォーズ」(09年・ワーナー・ブラザーズ映画)では16.5億円の興行収入を達成し、ベルリン国際映画祭にも正式招待された。11年には自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。最新作で自身が監督・脚本・原作を務めた12年公開の「おおかみこどもの雨と雪」(東宝)は、この記事の公開時点で興行収入41億円を超える大ヒットとなった。現在、日本を代表するアニメーション映画監督の旗手として国際的に知られる。
(写真:大槻 純一、以下同)

細田:そこに表現はどう入ってくるんですか。

澤本:そこから先はパズルをどうやって組み合わせていくかの話になりまして、こっちの表現だったら、この要素が入れられる。あっちの表現だったら、あの要素が打ち出せると、試行錯誤しながらベストの組み合わせを探していくんです。シミュレーションの繰り返しですね。

細田:ピースはうまく嵌まりますか。

澤本:難しいです!でも、考えている途中で、何かをきっかけに、「ああ、全部のピースが嵌まった」という瞬間があるんです。

 それをカッコよく言うと、「降りてきた!」になるんですが、普通にしていては絶対に「降りて」こなくて、降りてくるまでにず~っと考えているんです(笑)。

細田:そんなに長く。

澤本:ああ、もう嫌だ、と思ったときに、何かをふと見て、不意にパーッと視界が広がっていったり。

細田:たとえば目の前にロシア人がいるとか(笑)。

澤本:ロシア人、大事ですよね(笑)。シミュレーションで言えば、練習ってわけじゃないんですが、たとえばコーヒーショップで、カウンターで注文をしている人に、勝手に頭の中でベートーベンとか、サザエさんの主題歌とかのBGMを付けてみたり、ということはよくやっていますね。BGMによって頭の中で展開するその人の持つストーリーが全然違ってくるんで。

細田:それは違うでしょうねえ。

澤本:コーヒーショップが好きなのは、人がいるから、で。いろいろな刺激があるから、そこにいると企画がどんどんできるような気がする。また、他人に見られているという意識で自分を追い込む。周りの人に、「俺は頑張ってますオーラ」を出したいと思って、外見頑張ってる風を装おうとして、ホントに頑張ったり。そういう人間として小さい事でなんとか気持ちを上げています。

細田:それで、頑張る(笑)。

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「アイデアが出るファミレス、出ないファミレス」の著者

澤本 嘉光

澤本 嘉光(さわもと・よしみつ)

CMプランナー

1966年、長崎県生まれ。東京大学文学部卒業後、電通に入社。カンヌ国際広告祭賞など内外の受賞多数。2007年に始まったソフトバンクモバイル「白戸家シリーズ」は5年目に突入し、いまや国民的CMに成長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長