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全国の課長さん、あなたに「最後まで逃げない部下」はいますか?

「機動警察パトレイバー2」(1993年 押井守監督)【承前】

2012年12月10日(月)

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機動警察パトレイバー2」(以下、「パト2」)とは、隊長、すなわち中間管理職のありようを描いた映画ということでした。その「主役」である後藤隊長(後藤喜一・警部補)にはモデルがいるということでしたが……

押井:「パトレイバー」というのは、たまたまそこにいましたという人間の話なんです。後藤は別に、ロボット部隊の小隊長になりたかった男じゃない。警察という組織の中でたまたまロボットの部隊に配属されちゃったと。じゃあその部署で、どうやって部下を集めようか、どうやって予算を獲得しようか、どうやって上をだまくらかして自分の正義をやろうかってやっていくわけだけど、これは当然リスクをともなうんです。

 前回、人は自分のスキルを試したい生き物だという話をしたけれど、スキルを試すということは、すなわちリスクを背負うということでもある。ノーリスクで自分のスキルを世の中に現すなんてことはできるわけない。これは軍人だろうがサラリーマンだろうが役人だろうがどれも一緒だよ。

 鈴木敏夫(映画プロデューサー。徳間書店に入社後アニメ雑誌「アニメージュ」に携わり、1989年にスタジオジブリに移籍して以来全作品のプロデューサーを務める)という男はまさにそうだよね。きちんとリスクを背負って自分のスキルを世に問うている。実は後藤のモデルは敏ちゃんなんです。

編集Y:なんと。

そうだったんですか。

(写真:大槻 純一、以下同)

押井:敏ちゃんほど人をいいように使った男はいないからね。テーマを持っている人間は、テーマがない人間を好きに使っていいんだという考えだから。

「頭上の敵機」の回(「テーマがある人は、テーマなき人をどう使ってもいい」)もそういう話がありましたね。

押井:本人が常日頃からそう言ってるんです。「あいつらは、放っておいたらテーマがないんだもん。俺はテーマがあるんだから、あいつらにテーマを与えてやって自由自在に使ってどこが悪い」って。

 利用して申し訳ないどころか、利用してやったんだから感謝してほしいぐらいのニュアンスですね。

押井:敏ちゃんが面白いのは、テーマを映画の中味に置いてないところだよ。彼はプロデューサーだから「作品」というテーマを持ってない。彼にとっての絶対的なテーマは「動員」。作品の善し悪しは二の次なんだよ。

 「イノセンス」で組んだときにはっきりわかった。自分自身の趣味、好みの映画を作るためには仕事してないんです。プロデューサーだから興行として成功することがテーマであって、それ以外にはない。

 でも、その中で監督を通してと、いうか監督をだまして、コントロールして、自分の言いたいことも時々言っちゃおうとしてるんです。だからジブリの映画の何本かは、実は「鈴木敏夫映画」だからね。僕に言わせれば「魔女の宅急便」はその典型だよ。あれは宮さん(宮崎駿)の映画じゃないもん。

そのあたりもいずれじっくりうかがいたいです。

モテないオヤジが持つ妙な説得力

押井:鈴木敏夫という人間は、たぶんかつては徳間康快さん(故人・徳間書店初代社長。スタジオジブリの社長でもあった)に同じように扱われたんだと思うよ。そういうやり方を見てきたからこそ、今、同じ事をやれてるんです。昔の人間、戦後のオヤジたちというのは実はみんな同じ構造で生きてきたんです。

 自分のテーマをどうやって実現するか、そのために誰が利用できて、誰をどう動かすのか、そのために何をするのか。テーマを与えなければ人は動かないし、そうするように追い込まなければ誰も動かない。あるいは、退路をあらかじめ潰さなかったら誰もやらない。

コメント5

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「全国の課長さん、あなたに「最後まで逃げない部下」はいますか?」の著者

押井 守

押井 守(おしい・まもる)

映画監督

1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2」で映像作家として注目を集める。アニメの他に実写作品や小説も数多く手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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