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今再び「海防」に目覚めよ

元内閣安全保障室長、佐々淳行氏に国境問題を聞く

2012年12月5日(水)

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 国境の無人島を巡って、東アジアが揺らいでいる。今年9月の尖閣諸島の国有化をきっかけに、中国で大規模な暴動が勃発、日本製品をボイコットする動きが広がった。習近平・総書記を中心とする新体制が発足したが、その対日戦略が大きく変わる気配はない。

 領有権を主張し合う国のどちらかがこれを放棄することは、それぞれの国内政治を考えれば不可能に近い。それでも解決を目指そうとすれば、おのずと武力衝突に向かう。だが、日本と中国は互いに不可欠な貿易相手。武力紛争で経済活動が遅滞することは避けなければならない。

 台頭する中国を前に日本は何をすべきなのか――。『救国の八策』(幻冬舎)や『「国土」喪失』(PHP研究所)など安全保障に関して積極的な発言を続けている、元内閣安全保障室長の佐々淳行氏に話を聞いた。

(まとめは篠原匡)

尖閣諸島の周辺の海に侵犯を繰り返す中国の公船が増えています。

佐々淳行(さっさ・あつゆき)
東京大学法学部卒業後、警察庁に入庁。警察・外務・防衛各省庁や内閣安全保障室で危機管理に従事、東大安田講堂事件などで陣頭指揮を執った。『救国の八策』(幻冬舎)、『「国土」喪失』(PHP研究所)など著書多数)

佐々:尖閣諸島の国有化以降、「五龍」(*1)の1つである国土資源部国家海洋局所属の海洋巡視船「海監」が周辺の海への侵入を繰り返しています。これに対して、日本政府は自制を呼びかけていますが、話し合いで片づくはずがありません。向こうは主権を主張しています。日本の領土に対して主権を主張している以上、領海侵犯に対する具体的な措置を取るべきでしょう。

 問題は海監が出てきていることです。海監は、領海侵犯を監視する水上警察のようなものです。発砲する事態につながる可能性があり、今の状態はとても危険です。海上保安庁は日本の領海内で何かが起きれば、少なくとも船体射撃は許されています。海監も同様の行動に出る可能性があります。海監は「海上保安庁が発砲したので、正当防衛で撃沈しました」と言えるんですね。

海監は公船であって海軍ではありません。海上自衛隊を展開すると、日本が先に軍事的行動を起こしたと国際社会で非難される可能性があります。

救国の八策』「海防」の重要性を説いた一冊。

佐々:識者の中には海上自衛隊を出せ、陸上自衛隊を駐屯させろ、という意見がありますが、私は反対です。あくまでも警察問題として海上保安庁が対応すべきです。自衛隊を出すことで軍事的衝突を招きかねない。

 その代わり、海上保安庁の巡視船を増強する必要があります。巡視船艇の数は現在350隻ほど。日本の広い領海をカバーするには足りません。それに、装備がどうにも不足している。ほとんどの船が12.7ミリ機関銃しか装備していない。これに対して、向こうの船は漁業監視船でさえ30~40ミリ砲を積んでいる。同じ程度の装備にしないと、いつか殉職者が出ますよ。

 そうなると、日本人はすぐに激高して、「海上自衛隊が出て中国公船を撃沈しろ」と言い始めるに違いない。「一億玉砕、鬼畜米英」と言っていたのに、一夜にして総懺悔に変わった民族だからね。日露戦争の時も、ポーツマス条約で小村寿太郎が賠償金を取れなかったと、焼き打ちをやった。日本人は、そういう恐ろしい民族性を持っていることを自覚すべきです。

(*1)=「五龍(ファイブドラゴン)」は公安部公安辺防海警総隊(海警)、農業部漁業局(漁政)、国土資源部国家海洋局海監総隊(海監)、交通運輸部中国海事局(海巡)、海関総署密輸取締警察(海関)の5組織

コメント4件コメント/レビュー

海上保安庁の増勢は喫緊の課題。イージス搭載ミサイル護衛艦(DDG)1隻分の調達単価(1000億円超)があれば、やや旧式化しつつある海保のPLH(ヘリコプター搭載大型巡視船)を新型船に更新できる。すぐ予算処置を取るべし。北朝鮮のロケット打ち上げを監視するという名目で、海保の特殊部隊を観測隊に仕立て上げて尖閣に送り込むべし。(2012/12/05)

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「今再び「海防」に目覚めよ」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

海上保安庁の増勢は喫緊の課題。イージス搭載ミサイル護衛艦(DDG)1隻分の調達単価(1000億円超)があれば、やや旧式化しつつある海保のPLH(ヘリコプター搭載大型巡視船)を新型船に更新できる。すぐ予算処置を取るべし。北朝鮮のロケット打ち上げを監視するという名目で、海保の特殊部隊を観測隊に仕立て上げて尖閣に送り込むべし。(2012/12/05)

その昔、英仏まで使用済み核燃料の輸送船を出していた頃、護衛に自衛艦は使えないという馬鹿げた理由で海上保安庁に40ミリ砲装備の重武装艦が配備されていたと記憶しますが、その後どうなったのでしょうか?まだ残っているならば是非石垣島に回して尖閣防衛専任にしてはどうでしょうか?(2012/12/05)

佐々さんのご意見に全く賛同します。しかしながら、我が国の国民自身に、そこまでの意識が本当にあるのかといえば、多分大多数の人々はそうでは無いと思います。敗戦後、65年以上の時間の中で、政治・教育・ジャーナリズムを含め、我が国の安全保障と自国の防衛について、忌避するような或いは過去の戦争責任と安全保障をあたかも同じ目線で論じるような風潮が、結局我が国自身の本質的な安全保障を歪めてきたと思います。戦争はいやだ・子どもを戦争にやりたくない・軍事力の増強は周辺諸国に大日本帝国を想起させる等、馬鹿馬鹿しい限りの自虐性に、本当に浸っていたのではないでしょうか。戦争と安全保障・防衛の論点を如何しても同一視してしまう国民を、もっと別の視点から変える必要もあると思います。誰しも将来を見てきたわけではないのですが、結局、事が起こるまで或いは起こってからでないと前に進めない政治と行政も、我が国の将来に大いなる責任があるのは当たり前。(2012/12/05)

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