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政治漂流を加速させる「マニフェスト神話」の崩壊

第6回 早稲田大学政治経済学術院の谷藤悦史教授に聞く

2012年12月14日(金)

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 衆院選が終盤戦に突入する中、国民の多くはいまだに態度を決めかねている。政党が乱立し、争点も絞り切れないといった事情も働いているのだろうが、各党が出したマニフェストや公約集も有権者にとっての十分な判断材料になりえていない。早稲田大学政治経済学術院の谷藤悦史教授は「マニフェスト神話は崩壊した」と指摘する一方で、「今回の選挙を機にマニフェストのあり方をもう一度見直し、政党改革につなげていくべき」と説く。(聞き手は秋山 基)

民主党政権が前回のマニフェストで約束した内容の多くが未達に終わったこともあり、マニフェスト批判が起きた。今回の選挙では「マニフェスト」という言葉を使わない政党も多い。

 政権交代が起きた2009年は「マニフェスト元年」と呼ばれた。その一方で、マニフェストさえ取り入れれば日本の政治が大きく変わるという幻想や神話、マニフェストのつくり方や取り扱い方に関する誤解も生まれた。これはマニフェストにとっても不幸なデビューだった。

 にもかかわらず、今回、本来のマニフェストはどうあるべきかという冷静な議論がないまま、選挙戦に突入してしまった。しかも、各党は公示直前になって政策集や公約集を出し、駆け込みのように新党ができるという状況が重なった。これは国民にとって非常に失礼なことだと思う。本当は有権者が政党や政策についてもっと熟慮する時間が必要だったのに、選ぶべき政党や政策が決められない中で投票しなければならない事態になっている。

マニフェストは変えてもいい

マニフェストにまつわる誤解とは?

谷藤 悦史(たにふじ・えつし)氏
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。同大政治経済学部教授、英エセックス大学客員教授、アイルランド・ダブリン大学ヨーロッパ経済公共問題研究所客員研究員などを経て現職。専門は政治コミュニケーション、現代イギリス政治
(写真:陶山 勉、以下同)

 日本ではマニフェストには数値目標や達成期限を明記すべきと言われてきた。しかし、本場であるイギリスのマニフェストはそうではない。いったん作ったマニフェストは変えられないというのもまったくの誤解で、政党がマニフェストを変更することは珍しくない。

 なぜなら、政策は状況によって変更されるべきものだからだ。政権党は任期中に自分たちの政策を実現しようとするが、その中身は政治的・経済的・社会的状況、あるいは財政状況によって変えざるを得ないことがある。政策の優先順位を変更しなくてはならないような状況もありえる。だから、マニフェストにはあまり明確な数値目標を書かないのが当たり前であって、数字を明記してしまうと、政治はそれに拘束されて自由度を失う。

 そもそも、マニフェストが変更不可能なものであるのなら、選挙で勝った政党は、官僚に対して、国民の承認を得たマニフェストを実現せよ、と要求するだけの存在になり、政治はいらなくなってしまう。そうではなくて、国民との約束と環境の変化を照らし合わせ、調和させていこうと努めるのが政府の役割であり、「政治の妙」だとも言える。イギリスでは、「政治は可塑的でなければならない」と言われている。

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